魔王となった英雄
ロイク
プロローグ 新魔王ロルドの覚悟
かつて人間が住んでいた大都市「バルマン」
2年前。魔王による大虐殺が行われ今や魔物達が平和に暮らしている。そして都市の中心にそびえ立つ城その中には全ての魔物を統治する魔王ロルドがいた。
魔王の使い「ロルド様!緊急事態です!」
ロルド「どうしたんだよロベリア?うるさいなぁ」
ロベリア「これは失礼しました…実は北の遥か遠く小さい村に英傑の器が生まれたとの報告がありました。」
ロルド「北の小さな村…その報告はほんとなの?」
ロベリア「はい。魔物達の目撃情報によると英傑の器の誕生前に起こる【幸福の虹】も確認されたようです。すぐに出発する予定です。」
ロルド「そうか…今回は僕も同行させてもらうよ?」
ロベリア「な…なにを言っているのですか?あなたはここにいなくてはなりません。これは私達の仕事ですよ!?」
ロルド「いや…少し気になることがあってね確かめたいんだ。頼むよ。」
魔王の眼光がロベリアを捉えた
ロベリア「はぁ…あなたは魔王としての自覚があるんでしょうか?本来魔王というのは魔物達の上に立つ者として常に玉座にs」
ロルド「わかったわかった!今回だけだからねっ?お願い」
結局ロベリアは魔王を甘やかしてしまった
その後
ロルド「ここが例の村か…」
ロベリア「はい。ここで間違いないらしいです。」
ロベリア(ロルド様珍しく元気がないな…気のせいか?そういえば気になることってなんなんだろうか…)
2人の後ろには容易に1000を超える魔物達がいた。
ロベリア「小さな村ですが、油断は禁物です。いつどこで反乱の芽が育つかわかりませんから。」
ロルド「あぁ…不安の種はすぐに潰す。用心に越した事はないね…」
そして村への攻撃が始まった。
家は焼け、あたりには人であったろう肉塊や死体が転がっていた。その様子は地獄という言葉がとても似合っていた。
だがロルドは村への攻撃ではなくある場所へ向かっていた
ガチャッ
ロルドは目的の家についた
そこには赤ん坊とその赤ん坊を必死に守る母親がいた
赤ん坊「ウギャーンウギャーン」
静まった家の中に赤ん坊の鳴き声だけが響いた
母親「まさか…あなたは…」
ロルド「久しぶりだね母さん」
母親は数年前行方不明となり、ある日魔王になったという噂のたった少年を見て膝から崩れ落ちた
母親「ずっとあなたを心配してたの…みんな言ってたアイツはもう死んだって。でも私はずっと信じてたわ…ほら見てこれはあなたの弟よ」
すると母親は赤ん坊を渡してきた
その赤ん坊の姿ははこの汚れた世界などまだ知らない幼き頃の自分にそっくりだった
ロルド「ごめん母さん…俺は帰ってきたんじゃないんだ…」
母親は元から何か気づいてたかのようにいった
母親「そう…でもあなたは私の息子。家にはちゃんと帰ってきたじゃない」
村人達の悲鳴がだんだん近づいてきた
母親「一つだけお願いがあるの…この子はあなたの弟だけは殺さないで…母さんからの最後の願い」
ロルド「なんで…アンタは魔王の俺にそんなこと言えるんだよ…コイツは…英雄になる可能性のある存在なんだ…殺さなくてはいけなんだよ…」
母親「ええ…知ってるでもあなたは殺さない。だってあなたは優しいもの」
ロルド「こんなに大量の人を殺した俺を見てまだそんなこと言うのか!」
心がバラバラに砕けそうだ
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しばらくした後。家にロベリアが入ってきた
ロベリア「ロルド様!こっちは全て終わりました。」
そこには女と赤ん坊であっただろう死体があった
ロルド「あぁ…こっちも終わったよ撤収するぞ」
村を振り返ると焼け焦げた家々と死体がそこらじゅう無惨にも広がっていた
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ロルド達は城に戻り休憩していたある戦士達が会話をしていた
戦士A「なぁやっぱ聞こえただろ?」、
戦士B「だからなんも聞こえなかったって」
戦士C「何話してんだよお前たち」
戦士B「いや。コイツこないだ村を焼いたとき川から赤ん坊の鳴き声が聞こえたとか言ってんだぜ」
戦士C「んなわけねぇだろ!あんな地獄みてぇな場所から俺達の目を盗んで赤子が逃げ出すなんて。」
戦士A「いやまぁそーなんだけどさ。なんか気になるんだよなぁ。」
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この出来事が起こる6年前
ロルド「じゃあ俺行ってくるよ!人もアニマ(魔物)も互いに共存できる世界にするために!」
大勢の人々「俺たちはお前らを信じてるからな!」
魔王討伐に向かったのは英傑の器ロルドだった
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