第76話
「アリス……? 君は……知っていたんだね? ジョンを……」
ぼくはアリスの瞳をじっと見た。
アリスは寒さからか、白い息を吐いて遠い記憶を辿るような瞳をしていた。
「ええ。数年前に亡くなった叔父さんなのです。確かお葬式で初めてお顔を拝見したの。その時は真っ白だったけど、とても綺麗な顔だったのです。殊の外、優し過ぎるくらい素晴らしい心の持ち主の叔父さんだったと聞きました。でも……。誰かが墓を掘り起こした事件が起きて……」
ぼくは急に頭痛がしていた。
「う……!」
「モート君? 君が……?」
ぼくは頭を抱えて頷いた。
「そうだ……生まれてから、首を狩ることを覚えた最初の日。ぼくは練習に死体の首を狩っていたんだ。大勢狩った。そしたら、一人の女性が来て……?」
「モート……」
ヘレンはそれを聞いて、震える肩を摩って、うなだれてしまった。
「生き返らせた……? なんてこと?! 古代の禁呪だ……!」
オーゼムは眩暈がしたのか、立っているのがやっとのようだった。
「やはり、イタチごっこですね。この事件は……ジョン・ムーアは決して死なないでしょう。断言します。また生き返りますよ。……さあて、皆さん。もうそろそろお別れのお時間です」
凍てついた狭い地下の部屋でオーゼムはニッコリと笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます