第74話
シルバー・ハイネスト・ポールは火だるまの人間によって、地獄の業火に巻かれた。街の人たちが焼けただれ、倒れたものは燃え盛る。阿鼻叫喚の炎熱地獄だった。
モートは急いで地獄の門を閉じた。
「終わった……のか? これでいいのかは、正直わからない。後は……オーゼムに任せよう」
シンシンと空から雪が降って来た。
真っ赤な太陽は厚い雲によって覆われた。
ここホワイト・シティを包み込むかのような真っ白な雪は、優しく空から舞い降ちる。いつもの落ち着いた寒さを街は完全に取り戻した。倒れたゴシック様式の建築物も、火炎によって破壊された街並み。熱によって割れた道路。火だるまの人間。燃え盛る路面バス。それらが全て真っ白くなった。
「元に戻った……?! やったぞ!! オーゼムの研究は……」
モートは驚いて叫ぶが。
周囲に街の人々が集まり、その大歓声によって、モートの言葉は瞬く間に掻き消されていった。
その時、大きな音と共に空が割れ。神々しい光が発した。
光の中から白を纏った人たちが雲の間から現れて、ここホワイトシティを見下ろした。
さながら、今この地に生きている全ての人々を祝福しているかのようだった……。
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