第44話 エピローグ
「それで武君が……竜宮城の住まう惑星へ?」
「ええ、そうなの。これで命には別状はないわね。すぐには戻れそうもないけど……」
宮本博士と高取はグラウンドで晴れ渡った空を見上げていた。
鳳翼学園からはすでに、生徒やその父母、教師たちが家へと帰って行った後である。天鳥船丸や虚船丸らも帰り支度であった。
ここからでは湯築と麻生と卓登の姿は見えない。
「実は、こうなってしまうことを私たちは予め知っていたんだよ……」
宮本博士はぼそりと言って葉巻に火を点けた。
高取は眉間に皺を寄せたが、何も言わずに頷き。続きを急かした。
「あ、そうですね。学園都市の研究所で深海探査をしていた時に、海の底に一人の女性がいたんですよ。その時は驚愕したのですが、誰かなー? て、思った時に……」
痩せすぎといえる研究員が言ったのだ。
小太りの研究員はしみじみとした顔で、その痩せた研究員の言葉を引き継いだ。
「英雄は死に。二度生き返る。そして、星に生き星で生きながらえるだろう。って、言ったんです。海の底ですよ。そこは。その女性が言った言葉がよく聞こえたから、みんなびっくり仰天しちゃって……今までおぼろげだったけど、確かに覚えていたんだよ。まあ、ぼくは今でも信じてないけどね……」
小太りの研究員は高取にコーラを渡して微笑んだ。
「大丈夫さ。惑星から無事に帰って来るってさ。麻生ちゃんの元に……」
「そう。武の旅はまだ始まったばかりなのね……」
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