風道

 電車や電気機関車のモーターは、鬼のように熱くなるが、これをどうやって冷やすかは深遠な問題である。

 いや、空冷式に風を当てればいいのだが、その外気をどうやって取り込むかが問題。

 雨の日には水滴が、雪の日には雪の粒が混ざりこむから、そんな風をモーターへ送った日には、えらいことになる。


(旧型(凸型)のEF13は最初、第1モーターと第6モーターがほぼ露出しており、雨天時に水が入るという問題があったそうだ)


 そこで電車も電気機関車も工夫がされるのだが、要は外気取り込み口(インテイク)からモーターまでの道筋を遠く長くすればよろしい。

 長い道のりの途中で、水も雪も取り除くことができるから。

 そのための工夫で、見るたびに感心してしまうのだが、たぶん103系あたりから始まったのだと思うけれど、


「インテイクを車体側面の高い位置に設けて、そこから取り込まれた外気は、戸袋を通って床下へ導かれる」


 という方式。


戸袋:

ホームに停車して客用ドアを開くとき、このドアが引き込まれるあそこ。


 モーターを冷やさなくてはならないのは走行中であり、走行中には当然ドアはすべて閉じているから、その時には戸袋の内部は空っぽのお留守。

 空気を通す道として、まことにふさわしい。

(私の知る限り、221系や223系のクモハも、部分的にこの方式と用いている)


 部分的というのは、クモハでも連結面側の台車や、モハの台車に導かれる外気は、連結面から取り込まれるので。

 だから最近の電車は、連結面に窓を持たないことが多いのですよ。

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