鉄道エッセイ

雨宮雨彦

品鶴線

 品鶴線のことを「しなつる線」と読むのだと、私はずっと思っていた。

 正解は「ひんかく線」だと、わざわざ申し上げるまでもないであろう。

 しかし関西人であるから、この品鶴線とやらがどこにあるのか、よく知らないということは、白状しておく。

 おやおや、関東人のあなた。飾磨港線の正確な位置をご存知ですかな? 和田岬線は? 網干鉄道は?

 それはそうと私の誤読であるが、

「起点と終点の二つの地名を合成した線名は音読みで読む」

 という原則を、私は知らなかったのだ。

 そういえば、阪和線であって「さかかず線」ではないし、日豊線は「ひゆたか線」ではないし、紀勢線だって「のりいきお線」でない(強引だな)。

 高徳線に至っては「たかのり線」で、まるで誰かの人名みたいではないか。

 ああ、エッセイは難しい。オチや結論が付かなきゃならないんだから。

 そうだ!

 有馬線って知ってます?

 もちろん国鉄線で、福知山線の三田から分岐して、有馬温泉まで12キロ。営業休止は1943年で、現存しない。

「有馬線は、ありません」

 などとベタなオチはありませんので…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る