Princess & Chair ~王女殿下の椅子、はじめました~

風見書房

序 

 それは、遥か古の物語。


 望む未来を築く為、その人生を捧げた一人の『王』と、

 主に全てを捧げた『椅子』の、

 語られることのない物語――。


「ずっと……ずっと傍に、在り続けよう……共に、二人で――」


 彼は満願の為、その命を差し出した。

 災厄を打ち祓わんが為、絶対の剣となり盾と成った。

 その身果てるまで、如何なる時も、主を支える『椅子』と成った。


 主の――彼女の為、その全てを捧げること。

 ただ、それだけ――それこそが、唯一つ、彼の望んだ『未来』だった。


 そして、これは『彼』と『彼女』の、もう一つの物語――。

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