第112話 新たなステージ

「今日は空いてるみたいだから行こうか」


 俺は通話を終了させると、スマホをポケットにしまった。


「やったー!」


 三人は嬉しそうな表情を浮かべて言った。

そして、お店に向かって歩き始める。


 店に到着すると、いつもの個室へと通される。

ここは周りの目をあまり気にせずに落ち着いて食べれるのがありがたい。


 美少女たちを連れて歩いていると良くも悪くも目立ってしまうのである。


「じゃあ、好きなものを食べてくれ」


 俺がそう言うと、三人はお肉と飲み物を注文していく。


「それで、食べながらでいいんだけど聞いてほしいことがある」


 俺は肉を焼いている莉奈たちに言った。


「はい、なんでしょうか? もう、大抵のことじゃ驚かないですよ」


 莉奈は少し笑みを浮かべて口にする。

もう、驚かされない自信があるのだろう。

そんなことが表情から読み取れる。


「単刀直入に言う。名古屋遠征が決まった」

「そうですか。名古屋え……名古屋!?」


 莉奈が一回受け入れたが、大きな声を出した。


「声が大きいって」

「す、すみません……」


 確かに、いきなりこんなことを言われたら驚くのも当然だろう。


「俺の知り合いが名古屋でイベント事業をやっている人がいて、その人が新しくアイドルにも手を広げたいって言ってるんだ」

「なるほど……」

「出たよ人脈チート」

「四宮さんの人脈って東京だけじゃないんですね」


 三人は思い思いの感想を述べる。


「まあな、その気になれば全国どこにでも繋がりはあるんじゃないかな?」


 俺は真面目な顔で言った。

事実、北は北海道から南は沖縄まで知り合いが一人はいる。


「そんなことだろうと思いました」


 美穂がため息混じりに口にする。


「でも、名古屋遠征楽しみだね!」

「うん、私名古屋は初めて行くよ」


 莉奈と友梨がまだ見ぬ地にはしゃいでいる。


「また詳しいことは相手方と話して決めていく段階だから決まったら伝えるね」

「わかりました!!」


 アイドルライブの事業の一発目にWhiteを起用してくれるということは、それだけWhiteに期待してくれているということだろう。

元々は地元のアイドルを起用する予定だったようだが、より話題性に富んだものがいいということになって、俺の所に話が来たのだ。


「じゃあ、今は食べようか!」

「そうですね!」


 俺たちは再び焼肉を食べ進めた。


「今日もご馳走様でした!」


 三人がぺこりと頭を下げる。


「気にしないでいいよ。俺も楽しかったから。じゃあ、気をつけて帰ってね」


 駅まで見送ると、俺はスマホを操作する。

そのまま、先方との打ち合わせの日程を決めて俺も電車に乗って帰路に就くのであった。

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