第98話 選考開始

 いよいよ一時審査の書類選考がスタートした。

事務所のホームページのサーバーは俺の友人のエンジニアに頼んでサーバーを強化してもらった。

これで、落ちるということは余程のことがない限りはないだろう。


「四宮くん、これが応募者の全員の詳細資料だ」


 社長室にて望月さんがが印刷した資料を俺に渡してくれる。

だいぶ分厚い紙が渡された。

その数、100枚以上はあるのではないだろうか。


「その中から2次選考に進める子を選んでくれ」

「分かりました」


 果たして、書類だけでどこまでいけるかは分からないが、光るものを見つけ出せてらと思っている。

俺はデスクに戻ると、早速資料をめくって行く。


「お、この子は面白いな。可愛いし、いけるかも……」


 気になった子が居たら資料を別の所に置いて行く。

そんな作業午前中は続けて行った。


 ぶっ通しで作業を続けていると、半分ほどは終わった。


「これでまだ半分か。とりあえず飯食ってから再開しよう」


 俺はお昼ご飯を食べながら、メールのチェックをする。

Whiteの知名度が一気に上がってきて出演依頼が毎日入ってくる。

仕事を選別するだけでも結構な苦労だったりする。


「よし、続きやるか」


 ペットボトルのお茶を一口飲むと、再び選考の作業に戻る。

望月さんは俺の目を信じると言ってくれていたが、これもなかなかのプレッシャーなんだなと思う。


 俺の判断で、この子の人生を左右させてしまうかもしれないのだ。

責任は重大である。


 一枚一枚、選考資料を読み込んではきちんと選考を進めて行く。


「こんなもんか」


 俺は天井を見ると、目頭を押さえた。

午後の業務も5時間を超えたぐらいのタイミングで、渡された資料を全部選考をし終えた。


「さてっと」


 俺は2次に通すと決めた応募者の資料を手にして社長室へと向かった。


「社長、よろしいですか?」

「どうぞ」

「失礼します」


 そう言うと、俺は社長室へと入った。


「2次選考に通す人の資料をお持ちしました」

「あの人数の選考をもう終わらせてしまったのか。さすがだな」


 望月さんは少し驚いた表情を浮かべながら言った。


「四宮くんの人選なら問題ないだろう。この子たちに2次選考の通知を送る」


 通知はメールにて一括で送られる。

次の選考は実際に対面して行われる。


 書類だけでは分からなかったものが見えてくるのではないだろうか。


「それでは、よろしくお願いします」

「ああ。お疲れさん。今日はもう帰ってもいいぞ」

「分かりました。お先に失礼します」


 俺は社長室を出ると、荷物をまとめて事務所を出る。

そのまま、駅に向かって帰路に就くのであった。


 Whiteに出会って半年以上が経過した。

この半年、俺にとっては激動の半年であった。


 全ての出会いに感謝し、縁を繋いで行きたい。

それが“人脈“を武器にするということだろう。

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