第97話 募集開始

いよいよ、アイドルオーディションの募集が開始された。

どれほど集まるのかはまだ未知数であった。


 しかし、望月さんも気合が入っているらしく、かなり大々的に告知を出した。

協賛してくれている出版社等からも広告が出されているので、それなりに集まってくれると予想はしている。


「そういえば、アイドルオーディションの募集が開始したんですね」


 ライブ終わりに莉奈が言った。


「そうなんだよ。どのくらい集まってくれるかはまだわからないけどね」

「きっと、たくさん集まると思います!」


 莉奈が自信げに言った。


 確かに、Whiteの名前も業界内ではそれなりに売れて来ている。

その効果も考えたらそれなりに集まってくれるかもしれない。


「そうだな。Whiteも割と有名になって来たしな」


 俺は隣を歩いているメンバーを見ながら言った。


「四宮さん、もしかして気づいてないんですか?」

「ん? 何が?」


 莉奈の言葉に疑問符が浮かんだ。


「四宮さんってこの業界ではめっちゃ有名になってますよ?」

「確かにねぇ」

「本当にそうなんですよ!」


 Whiteの3人が俺の方を見た。


「え、そうなの?」


 どうやら、Whiteが有名になって行くのと同時に俺の名前も広がっていたらしい。


「やっぱり知らなかったんですね。ほら」


 莉奈が俺にスマホの画面を向けて来た。


「今、四宮渉とWhiteで検索をかけるとこんなに出てくるんですよ」


 そこには俺がWhiteの影の功労者だということや、無名から押し上げた天才などと書かれていた。

中にはユメミヤを過去にプロデュースしていたという情報まで出回っていた。



「何か凄いことになっているな」


 地下アイドルファンは情報が早いと言われているが、まさかここまでとは思わなかった。


「だから、四宮さんにプロデュースされたいとかって思う人も多いんじゃない?」


 美穂が歩きながら口にした。

Whiteに憧れを抱くのと同時に俺にも憧れを抱いている人間もいるのかもしれない。


「それに、四宮さんイケメンだし……」


 莉奈はボソッと呟いた。


「ん? 何か言ったか?」

「な、何でもありません!!」


 頬を少し紅く染めた莉奈は早足で歩き始めた。


「莉奈ちゃん嫉妬ですかぁ」


 美穂が若干茶化したように言った。

そこから、俺はメンバーたちを駅まで送って行った。


「じゃあ、俺はこっちだから」

「はい。お疲れ様でした」

「お疲れー」


 俺はメンバーと別れると、帰路についた。



 ♢



 募集が開始されて一週間が経過しようとしていた。

今日は社長からお呼び出しがあった。


「お疲れさん」

「お疲れ様です。今日はどうされたんですか?」

「実はな。応募が殺到してうちのホームページのサーバーが落ちた」


 望月社長は苦笑いをしながら言った。

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