第94話 四宮渉という男(White目線)②

 俺はその期待の視線に耐えきれなくなり、視線を外した。

まあ、光る人材がいたら俺も引き抜きたいとは思っているが、まだどんな人材が集まるかも分かっていないのである


「ありがとうな。ポスターはこのデザインで行こうと思うよ」


 莉奈たちがいいと言ったデザインのポスターをパソコンの画面に大きく表示させた。


「いいと思います!」


 3人とも首を縦に振った。

そうと決まれば、琴美に連絡して細かいところを修正してもらうとしよう。


「さて、明日は談冬社の撮影です。場所はグループに共有してある通り、渋谷です。迷ったら迎えに行くので連絡くださいね」

「「「分かりました!」」」


 明日はエリースの撮影が入っていた。

これに掲載されたら、Whiteの知名度はさらに上がることになるだろう。


「俺からはこんな感じだけど、みんなからは何かある?」

「いえ、私たちからは特に」

「了解。じゃあ、レッスン頑張ってね。たまには俺も見に行くから」


 今更だが、俺はWhiteが安定して来てからはレッスンの方にまで手が回らなくなっていた。

レッスンの方は信頼できる人間に任せているので、俺も安心だった。


「それじゃあ、今日はこのくらいにしておくか」

「分かりました」


 そう言って、立ち上がると俺はレッスンに向かうWhiteのメンバーを見送った。



 ♢



「はぁ、四宮さん今日もカッコ良かったなぁ」


 莉奈が頬を赤らめながら口にした。


「まあ、確かにあの大人の余裕というか雰囲気は結構かっこいいと思うけどね」


 美穂も莉奈の意見に同意する。


「だよね! あれで彼女とか居ないんだから不思議だなぁ」

「あのタイプのイケメンは逆に近寄りにくいんじゃない?」


 友梨が莉奈に向かって言った。

確かに、黒のスーツに黒シャツでインテリ風の眼鏡に整った顔立ち。

近寄り難い要素は十分に含んでいるだろう。


「にしても、相変わらず四宮さんは持ってくる仕事の規模感が違うわ。明日も談冬社だし」

「それな! あのルックスで仕事も出来ちゃうんだからずるい!」

「欠点という欠点が見当たらないよね」


 3人はレッスンに向かうまで四宮についてで盛り上がりを見せていた。


「人脈は武器になるって四宮さん言ってたけど、本当にすごいと思う。普通ならありえない企業にもコネとか知り合いが居るし」


 莉奈が四宮の言葉を思い出すようにして口にした。

四宮の生き方は人脈を武器にした生き方である。

それが仕事にも繋がるし、プライベートも充実させてくれる。


「四宮さんで良かったよね。私たちのプロデューサー」

「うん、今じゃ四宮さん以外には考えられないよ」

「だね」


 これは3人とも同じ意見だった。

四宮はWhiteのメンバーの信頼も勝ち取っていた。

メンバーとの信頼関係もとても大事なことなのである。


「今日もレッスン頑張ろうっか!」

「うん!」

「頑張ろー!」


 3人はレッスンのスタジオに到着した。

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