第71話 新たな協力者
俺はある人物に電話をかけた。
すると、3コールほどで電話に出た。
『はい、倉木です。珍しい人からの電話でびっくりしてますよ』
「お久しぶりですね。ちょっと頼みたいことがありまして連絡しました」
倉木そら、俺の知り合いの漫画家兼イラストレーターだ。
大手出版社でも連載経験のある売れっ子の漫画家である。
『四宮さんの頼みなら引き受けますよ。散々お世話になってますからね』
「ありがとう。実はな、うちの事務所でアイドルオーディションを行うことになってな。そこにイメージイラストを大教してもらいたい」
倉木の処女作の漫画は俺が出版社に紹介したことから連載に繋がった。
腕は確かだが、なかなか芽が出なかった彼の技術を俺は惜しいと思ったのだ。
『そんなのお安い御用ですよ。イラストなら漫画より時間がかからないですし』
「助かるよ」
『何枚書けばいいんですか?』
「3枚ほど書いてもらえるとありがたい」
俺のイメージとしては3枚あれば十分だった。
『承知しました』
「予算についてはすぐに出す」
『いやいや、四宮さんからお金は取れませんって』
「仕事を頼んでいるんだから、お金は払わせてくれ」
仕事として共にする以上、対価は支払うべきだろう。
それが今後の信用問題につながるのだ。
『四宮さんらしいですね。分かりました』
「じゃあ、納期やイラストのイメージがメッセージで共有するわ」
『お待ちしています。それと、僕からも一つ提案なんですが、僕の知り合いに一人面白い人材がいるんですよ』
倉木が言う面白い人材。
それはシンプルに気になる。
面白い人間には面白い人間が集まると個人的には思っている。
『類は友を呼ぶ』と言うやつだろう。
「面白い人材ですか?」
『ええ、書道家が居るんですよ。それも結構な実力者が。そいつに題字提供をお願いしてみてはいかがですか?』
「それは面白い。ぜひ、紹介してください」
『分かりました。先方に共有して四宮さんの連絡先をお伝えします』
流石の俺も書道家の知り合いは居なかった。
新しい業種の開拓は俺の武器である人脈の必須条件とも言える。
「助かります。それでお願いします」
『では、先方に伝えさせて頂きます』
「よろしくお願いします。では、失礼します」
俺はそう言うと、通話を終了した。
そして、イラストのイメージや納期についてなどを倉木へメッセージに送った。
すると、すぐに返信があった。
承知したという内容と、紹介してくれる書道家の実績一覧が送られてきた。
「すごいなこりゃ」
その実績は錚々たるものであった。
大手出版社や書店への題字提供に名誉ある受賞歴。
これなら実績としては十分すぎるといえるだろう。
そして、俺の仕事用のアドレスにメールが届いた。
タイトルは『倉木そらからの紹介』となっていた。
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