第4話 次への一歩
俺は自分の部屋に入ると、ノートパソコンを開いた。
そこで、Whiteについて色々と検索をかけていた。
「ここなら、まだ伝があるな」
俺はWhiteの所属している事務所を調べてみると、昔お世話になった社長が運営している事務所であった。
「善は急げだな」
ポケットの中からスマホを取り出すと、電話のアイコンをタップする。
その中から、望月浩介の名前を選択して発信した。
『望月です』
数コールで望月さんは電話に出てくれた。
「ご無沙汰ですしております。四宮です」
『あー、四宮くんお久しぶり。元気かい?』
電話口に渋い声が聞こえてくる。
「おかげさまで元気にやっております」
『それはよかった。君から連絡があるとは珍しいな。何かあったのかい?』
俺から望月さんに連絡することなどは滅多に無かったので疑問に思ったのだろう。
「実は、社長にご相談したいことがございまして」
『ほう、それはまた珍しいな。君ほどのプロデューサーが相談か』
望月さんは俺の経歴をなんとなくだが、知っている。
もちろん、『ユメミヤ』を初期からプロデュースしていたことも。
「はい、実は会社を退職する事になりまして」
『それまた突然だな。どうしてやめたんだ?』
「なんと言いいますか、解雇されてしまって」
俺は今の状況を望月さんに話した。
『はははは』
「何か面白かったでしょうか?」
望月さんは電話越しに大笑いしていた。
『いや、すまん。お前を解雇するとかバカなやつも居るもんだと思ってな』
そういえば、望月さんはうちの社長を嫌っていた。
まあ、表向きは上手くやっていたが。
「それで、ここからが本題なんですけど」
俺はそう前置きをして話しを進める。
「御社の所属アイドル、Whiteを私にプロデュースさせていただけないでしょうか?」
『ほう、君もあのグループに目をつけるとは流石だな。とりあえず会って話さないか?』
「もちろんです。いつならご都合がよろしいでしょうか?」
『明日の午後1時にうちの会社で頼めるか』
明日は特に予定は入っていない。
まあ、俺は今は実質無職みたいなもんなのだ。
いつでも動ける。
「分かりました。では、明日の13時に御社にお伺いさせていただきます」
『おう、久しぶりに会えるのを楽しみにしているよ』
「こちらこそ、明日はよろしくお願い致します」
そう言うと、俺は通話を終了させた。
門前払いも覚悟していたが、さすがは望月さんだ。
話がわかる。
「面白い事になりそうだな」
俺はリビングへと出た。
「お兄ちゃん、何ニヤニヤしてんの? 会社クビになったのに」
瑠奈は一言余計なんだよな。
「言ったろ? 面白いことができそうだって」
「ふーん、まあいいけど」
俺は明日を楽しみになりながらも、今日一日が幕を下ろそうとしていた。
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