【Web版】人脈チートで成り上がる地下アイドルプロデュース〜ビラ配りしていた売れない地下アイドルの人生変えてみた〜

津ヶ谷

第1話 え、俺はもう用済みですか?

「四宮くん、今までご苦労さん。明日から、君の席は無いから」


 都内のとあるアイドルの事務所でにて俺、四宮渉は社長からクビを言い渡されていた。


「社長、なんの冗談ですか? 私はあのユメミヤを初期から担当して来たんですよ」


 『ユメミヤ』とは今、うちが押し出しているアイドルグループである。

やっと人気が出て来て、今では地下と地上の狭間あたりにいるアイドルである。

 俺は、そのユメミヤを初期の頃からずっと担当しており、それがやっと報われたのだ。


「冗談じゃないよ。君は今日でクビだから」


 社長は書類から目を離さずに言った。


「私、何かしましたか?」


 俺は社長に尋ねた。


「君は何もしていない。だが、それが答えでもある」


 社長はそれ以上の説明をしなかった。


「どういうことですか?」

「とにかく、もう出ていってくれ」


 社長の言葉に俺は渋々部屋の外に出た。

外に出ると、そこにはユメミヤのメンバー3人が居た。

そして、そばには俺の知らない若い男も。


「お疲れ」


 俺は3人に声をかけたが、もの凄く白いめで見つめられてしまった。


「もう、新しいプロデューサーもいるから用済み」

「あんたに育ててもらった覚えはないから」


 などと言われてしまった。

俺は、絶望に近しいものを感じた。


 今まで俺がどんなに苦労して売り出して来たと思っている。

それをこうも簡単に裏切られるとは。

業界の闇を見てしまった気がする。


 もちろん、この業界に居れば多かれ少なかれの闇は目撃することになる。

しかし、こんな裏切られ方があるとは思わなかった。


「そっか……」


 俺はそれだけ言い残すと、足早に事務所を離れた。

新しいプロデューサーというやつも俺のことを鼻で笑うような表情を浮かべていた。


「これからどうしたもんかな」


 俺は今年で26になる。

まだ、再就職は望めるくらいの年齢ではあるか。


「アキバでもか……」


 事務所が東京の秋葉原にあるので、俺はアキバの街をなんとなくぶらついている。

すると、ビラを配っている女の子にしつこく話しかけている男、まあおじさんが居た。

女の子は若干、というかかなりめんどくさそうな顔をしている。


 これは、意外とよくみる光景なのだが、今回の相手はなんかもっと粘着質な感じがした。


「お姉さん、ちょっといいかな」


 俺はその男と女の子の間に割って入った。


「ッチ、なんだよ」


 男は俺に軽く舌打ちすると、その場を離れて行った。


「大丈夫だった? 変なのに絡まれて災難だったな」

「すみません。ありがとうございます。よかったら、これ」


 その女の子は俺にビラを渡して来た。


「Whiteか。地下アイドル?」

「はい、一応アイドルやってます」


 ビラにはWhiteというグループ名と、ライブ情報が公式のSNSが書かれていた。


「これから初ライブなんですけど、見ていきませんか?」

「じゃあ、見てみるよ」


 元アイドルプロデューサーの性なのか、興味を惹かれたのでそのライブを見てみることにした。

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