【今治市発恋愛ドラマ】恋を始めてもいいですか
佐伯達男
第1話
「ねえ、あきのり。」
「何だよ。」
時は、バレンタインの日の昼休みのことであった。
アタシは、幼稚園の時から幼なじみの口総(くちすぼ)あきのりと一緒に、東村の旧国道沿いにある大型ショッピングセンターの中にあるマクドナルドにいた。
アタシとあきのりは、500円のビッグマフィンのセットを頼んだ。
ビッグマフィンのセットを受け取った後、アタシとあきのりは店の外へ出た。
今日は天気がいいので、外のベンチでランチを摂った。
その時、アタシはあきのりに頼みごとをした。
6月に湯ノ浦のリゾートホテルで、大学の時から付き合っていたカレシと挙式披露宴を挙げる。
アタシは、あきのりに結婚披露宴の司会をしてほしいとお願いした。
「結婚披露宴の司会?」
「うん。」
「そうだな。」
アタシは、もうしわけない表情で両手をあわせて『ねえ、お願い…この通りだから…』とあきのりにお願いした。
あきのりは、やや気だるい声で『はるかのお願いだったら仕方ないなァ…』と言うて引き受けた。
アタシは、あきのりに『ありがとう…助かったわ。』とうれしい表情で言うた。
あきのりは、アタシにこう言うた。
「それで…いつ挙式披露宴を挙げるの?」
「んーとね…6月の第2日曜日、大安吉日よ。」
「そうなんだ。」
アタシは、腕時計をちらっと見てから『あっ、会社に戻らないと…』と言うてからあきのりに会社に戻ることを伝えた。
「今日は話ができてよかったわ…ありがとう…披露宴当日は司会をよろしくたのむわね…バイバイ。」
アタシはあきのりに『また会おうね…』と言った後、駆け足で職場へ戻った。
アタシの名前は羽島はるか26歳。衣干にある印刷会社のOLです。
話は変わって、夕方5時頃であった。
仕事を終えたアタシは、タイムカードに退勤時刻を記録した後、カレが待っている東村の旧国道沿いにある大型ショッピングセンターの近くにあるファミレスへ向かった。
夕方6時に、婚約者の宗方潤一さんと待ち合わせで、夕食をとりながら6月の挙式披露宴の打ち合わせをする予定となっていた。
「潤一さーん、お待たせ。」
「はるか、待っていたよ。」
「ねえ、中に入ろうよ。」
「ああ。」
ファミレスの中にて…
アタシと潤一さんは、580円のハンバーグセットを注文した。
まずは、二人で夕食を摂った。
夕食のあと、食後のブレンドコーヒーをのみながら、挙式披露宴の打ち合わせをした。
「はるか。」
「なあに?」
「今日、新居(いえ)を買ったよ。」
「新居(いえ)を買った?」
「ああ…5LDKの分譲マンションだけど…今治駅のすぐ近くにある分譲マンションだよ。パンフみてみる?」
潤一さんは、アタシに新居である分譲マンションの部屋のパンフを見せた。
「素敵ね…お金は大丈夫なの?」
「頭金300万を払ったから、あとは月々14万円ずつ分割払いで行くよ。」
「がんばらないとね。」
「話変わるけど…6月に挙げる挙式披露宴のことで話があるけど…」
「いけない、忘れていたわ。」
このあと、アタシと潤一さんの挙式披露宴の打ち合わせに入った。
挙式披露宴は、アタシと潤一さんの友人知人と職場の関係者のみなさんだけで執り行う予定であった。
アタシと潤一さんは『挙式披露宴はこんなのがいいね。』とか『海外ウェディングはこんなのがいいね。』などと言いながら、楽しく打ち合わせを進めた。
ところ変わって、乃万(のま)の国道バイパス沿いにある造船関係の冷熱会社のオフィスにて…
「こんな書類の書き方はなんや!?もう一回書き直せ!!」
「すみません。」
造船関係の冷熱会社の営業一課のオフィスで、営業一課の課長さんが部下の人を怒鳴りつけていた。
営業一課の課長さんは、アタシとお見合いをする熊代達郎さんである。
達郎さんは、41歳で今も独身である。
「課長、宮本さんは2ヶ月前に結婚したばかりで、気持ちが落ち着いていないのです…あまり強く言わない方が…」
「うるさい!!いちいち口出しするな!!」
達郎さんは、ますます怒りっぽくなった。
周囲の従業員さんたちのおめでたが続いていたので、達郎さんは心の中でさみしさを募らせていた。
夕方5時過ぎに仕事を終えた達郎さんは、タイムカードを押して会社を出たあと、歩いて延喜(えんぎ)のバス停まで行った。
達郎さんは、延喜のバス停から今治市内に向かうバスに乗って、今治バスセンターへ向かった。
バスを降りた後、歩いて住まいである賃貸マンションへ向かう。
達郎さんは、途中のマルナカ(スーパー)に行って、夕食の幕の内弁当とペットボトルのウーロン茶をこうた。
「ただいま。」
ところ変わって、通町(とおりまち)にある賃貸マンションにて…
部屋に帰った達郎さんは、マルナカで買ったお弁当で夕食を摂る。
「さみしい…」
部署のスタッフさんたちの恋愛や結婚の話を聞くたびに、達郎さんはため息をつきながら『さみしい』とぼやいた。
4月の第2金曜日のことであった。
アタシは、昼休みに東村の旧国道沿いにある大型ショッピングセンターの中にあるマクドへ行って、潤一さんと挙式披露宴の打ち合わせをしていた。
6月の第2日曜日の本番に向けて、準備を着々と進めた。
さて、その頃であった。
乃万の造船関係の冷熱会社にいる達郎さんは、コンビニで買った幕の内弁当でランチを摂っていた。
その時、営業部の部長さんが達郎さんのもとへやってきた。
営業部の部長さんは、もうしわけないと言う表情で達郎さんに言うた。
「ああ熊代くん、ちょっといいかな?」
「あっ、部長。」
「今度の日曜日に、総務の渡部くんの挙式披露宴がいまこく(今治国際ホテル)であるけど…その時にスピーチをお願いできるかな?」
「はっ、スピーチですか?」
「実は、その日にY商事の社長さんからゴルフに誘われたんだよ…急に急な予定変更で出席できなくなったのだよ…原稿は渡しておくから…お願いできるかな?」
「かしこまりました。」
「頼むよ。」
部長さんの代理で結婚披露宴のスピーチを急に頼まれた達郎さんは、ものすごく困った表情を浮かべた。
急に結婚披露宴のスピーチを頼まれても…
困るよ…
そして、披露宴の日がやって来た。
急きょ、結婚披露宴に出席することになった達郎さんは、いまこく(今治国際ホテル)に行った。
達郎さんは、ものすごく困った表情を浮かべていた。
洋式トイレの個室で、達郎さんはスピーチの原稿を何度も読み返した。
しかし、極度にあがっていたのでものすごく不安定な状態にあった。
そして、結婚披露宴が始まった。
達郎さんは、新郎代表のスピーチをするために、用意を始めた。
「それでは、新郎代表のスピーチをお願いします。」
司会者からの紹介のあと、達郎さんはマイクの前に出た。
白のタキシード姿の達郎さんは、ものすごくあがっていた。
「えー…本日はお日柄もよろしく…えー…。」
どうしよう…
言葉が出ない…
達郎さんは、ものすごく困った表情を浮かべた。
「新郎の…えー…」
達郎さんは、原稿どおりにスピーチを読もうとした。
しかし、うまく伝えることができなかったので、ひと言『おめでとうございます。』と言うて席に戻った。
あーあ、しんどかった…
その頃アタシは、潤一さんと一緒に、湯ノ浦のリゾートホテルにいた。
この日は、衣装合わせなど…挙式披露宴を挙げるための準備で来ていた。
ブライダルサロンにて…
「ジャーン!!どうかしら!?」
アタシは、カリスマモデルさんがプロデュースしたウェディングドレスを着用していた。
潤一さんは目を細めて喜んだ。
「どう、似合う?」
「うん、すごくきれいだよ。」
「わあー、うれしいわ…ねえ、他のドレスも着てみたいけど、いい?」
「ああ、いいよ。」
「ねえ、潤一さんも一緒に、衣装を試着しようよ。」
「そうだね。」
アタシと潤一さんは、二人で楽しく衣装合わせをしていた。
次の日であった。
乃万の造船関係の冷熱会社にて…
「おはようございます。」
達郎さんは、出勤して早々に部長さんに呼び出された。
「熊代課長、部長がお呼びでございます。」
達郎さんは、同じ部署のOLさんから『部長がお呼びです…』と言われたので、部長の元へ行った。
結婚披露宴の席でテキトーにスピーチしたので、おらばれる(おこられる)かもしれないと達郎さんは思った。
達郎さんは、部長さんからこんなことを言われた。
「私の代わりにスピーチを引き受けてくれてありがとう。」
「ありがとうございました。」
部長さんから『ご苦労様』と言われた達郎さんは、泣き笑いの表情を浮かべた。
夕方5時頃のことであった。
達郎さんは、タイムカードに退勤時刻を記録した後、会社を出ようとした。
この時、達郎さんは年配の男性から声をかけられた。
「熊代くん。」
年輩の男性は、アタシのおじで、達郎さんの昔の上司の春義(はるよし)おじさんである。
春義おじさんは、アタシの母の兄にあたる人である。
「専務。」
「おお、熊代くんちょうどよかった…一緒に晩めしでも食いにゆこや。」
「あっ、はい…」
達郎さんは、アタシのおじと一緒に共栄町の料亭へ行った。
料亭の個室にて…
テーブルの上に置いている割烹弁当のお重のふたは、まだ閉じたままであった。
「まあ、のみたまえ。」
「はっ。」
おじは、達郎さんにビールをついだ。
ビールを軽く一杯のんだあと、おじは達郎さんにあつかましい声で言うた。
「ところで熊代くん。」
「はい。」
「君はいつになったら結婚をするのかね。」
「えっ?結婚?」
「40過ぎの男が独り身を通すことは、好ましくないとはおもわんのか!?」
達郎さんは、おじにこう言い返した。
「お言葉を返すようですが、この年で結婚したいと言うても、条件の悪いお相手しかいないんですよ…」
達郎さんに言い返されたおじさまは、ややあつかましい声で達郎さんに言い返した。
「何を言うのだね君は…自分探しばかりしていたから、嫁さんがきてくれんのや!!そこに気がつかないのかね!?」
「そうでしょうか?」
達郎さんは、ぽつりと言うた。
まだこの時点では、おじさまは達郎さんとアタシのお見合いの話を出さなかった。
4月の第4月曜日のことであった。
アタシは、潤一さんの挙式披露宴まで2ヶ月を切ってなにかとバタバタとしていた。
その時に、おじがアタシのお見合い話を急に持って来た。
夕食時に、おじが織田ヶ浜(おだがはま)の近くにあるアタシの家にやって来た。
その時に、アタシと達郎さんのお見合い話が入った。
おじから急にエンダンを持ち込まれたアタシは、思わずすっとんきょうな声をあげた。
「お見合い…ちょっと、アタシ聞いてないわよ!!」
母は、アタシにあつかましい声でアタシに言い返した。
「はるか!!お父さんとお母さんは、はるかがいつになったら結婚するのかと心配になっているのよ…はるかがなんにも言わんけん、おじさんに頼んで、お見合いの世話をお願いしたのよ!!」
「どうしていらんことするのよ!?」
「はるか!!なんてこと言うのよ!?おじさんは厚意でお見合いを持ってきたのよ!!…おじさんははるかに『もし近くにいいお相手がいなかったら、いかがですか?』と言うているのよ!!」
おじは、生ぬるい声でアタシに言うた。
「はるかちゃん、おじさんは近くにいいお相手がいないのであれば、お世話してあげるといよんよ…おとーさんとおかーさんが『いつになったらはるかちゃんが結婚に向くのか…』と心配しているんだよ…」
アタシは、平手打ちでテーブルをバーンとたたいたあと『ちょっとおじさん!!』と怒鳴った。
「どうしたのだね。」
「どうしたのだねじゃないわよ!!なんで断りもなくお見合い入れたのよ!?」
「ワシは、厚意でお見合いを入れたんだよ。」
「アタシは、アタシのやり方で恋をして結婚するのよ!!」
「じゃあ、いつになったから結婚するのだね。」
「そんなんおじさんにはカンケーないわよ!!」
アタシは、おじに対してより激しい怒りに震えた。
潤一さんとの挙式披露宴が決まって、準備がすごく忙しいのに…
いらんことせんといて…
次の日の朝のことであった。
ところ変わって、乃万の造船関係の冷熱会社にて…
達郎さんは、おじに呼ばれて専務室に行った。
「まあ、座りたまえ。」
「はい。」
「君に、大切なお話がある。」
「大切なお話?」
おじは、達郎さんにお見合い写真を差し出した。
達郎さんは、お見合い写真を開いた。
お写真は、アタシが成人式の時のふりそで姿であった。
「あと、スナップ写真も2~3枚あるけれど…」
アタシのおじは、達郎さんにアタシのスナップ写真も一緒に差し出した。
スナップ写真は、アタシが大学生の時に瑞穂スキー場(島根県)へ行った時のスキーウェアー姿と秋に四国カルストに行った時のハイキングウェア姿の写真である。(もちろん、アタシひとりで写っている写真だけどね…)
おじは、達郎さんに得意げな声で話した。
「わしのめいでな、いい子なんだよ…大学卒業で、印刷会社勤務でねぇ…」
「専務、これは私に専務のメイゴとお見合いせいと言うことですか?」
「ピンポーン!そうだよ。」
おじは、ニコニコしながら達郎さんに言うた。
「君が喜ぶと思って、話を持って来たのだよ。」
達郎さんは、困った声でおじに言い返した。
「専務、お言葉を返しますが…」
「何だね。」
「急にお見合いと言われても、困ります。」
「何を言っているのだね…困るのは君自身だよ…私は、厚意で『いかがですか?』と言うているのだよ。」
「そうは言うても。」
「お見合い日取りは決まっているのだよ…結婚したいかどうかについては、一度会ってから判断したらどうかね…」
おじからあつかましく言われた達郎さんは、しぶしぶアタシとお見合いをするハメになった。
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