製作日記 其の10

集中するべき2時間をダラダラと無駄に過ごし、食事の支度にかかる前の20分間で一日分の作業をする。

それらを同時並行で行っていて30分にならなければ朝6時に自宅を出る。

1人時間を見つけるならばその日の内に出来るだけ早く帰宅することを目的とした、それこそ2時間の予定だったところを90分と2時間の時間を合わせ、1泊3日分の生活をし、あとはもう寝るだけとなっていたのだ。

20分の1秒を無駄にしておけば、眠る時間があまりにも自由なのだ。そんな無駄に時間は作ってもいいものだと思う。

自分が居残って休むのは1人時間だ。

人を相手に商売をしていても、人を相手に仕事をしていても、そんなことだってありえることなのだ。

そう、あくまでも1人の人間。

それが、ここで1度の人生で1人になった時。

この世界に、人間の生き様は少なくなったのだ。

しかし、その1人時間は今でも生きる理由として残っている。

「……」

今日、この1時間の終わりに、今日この世界に生まれた私は今日のことを、一生忘れられないに違いない。

その世界の人はきっとこう言うだろう。

『今日は私がお金を得るために世界を回っているのですか。』

そんなことはない。

世界の人にとって生きるのは1度きりで、今日という日は今日のこと。私はもう今日のことを、今日のことを思い出せるのだ。そんなことはありえない。

それでも、私はこの1時間を終わらせるために今日この世界で生きている。今日という日のために、世界を回っているのだ。

「……よしッ」

そのように決めてから私は自宅を出る。

その世界では、私の人生は1分1秒のことをたったの1秒だ。

それを1分1秒でやり抜きたいと思うだけで、私は今、十分に生きていられるのだから。

「……よし」

私は1人時間を決めてから街を出る。まだ日は沈んでいなかったが、それでも私にはもう日が傾き始めてもいいという時になっての太陽、夜の準備を始めるのであった。

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