「私、知らないのよ。特になにも、

お父様に何か告げ口したとか、そんなこと

してないの」

「あのさー、取引中止ってどういうことだよ！？」

「このままじゃ、俺の父さんの会社、

経営が成り立たないらしいんだよ...！！」

ホームルームが始まる前に、

黒板そばの開き戸から中をのぞくと、

俺の彼女と、藤島くんの

二人は教室の隅でなにやら言い争っていた。

西園寺さんは落ち着いて淡々として、

返答してるけど。

藤島くんは顔色悪く、しかも眉間にシワを寄せてて。

折角のイケメン顔が、台無しになっていた。

俺は、取り込み中だと思ったので、

教室には入らず、ドアの影に身を潜めた。

壁際。一番後ろの席近くで、

揉めていて、近づけなかった。

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