第14話

「え、おまえが、仕事を見つけてくれたのか...!?」


テーブルの上で、苦虫を噛み潰したような

顔して、両手で頭をかかえて、見るからに疲弊していた父さんは、俺の知らせを受けてパッと顔をあげ、尚且つ、顔を明るくした。


「あ、まぁ、正確に言うと俺じゃなくて、

今日、俺、彼女が奇跡的にできたんだけど、

それが、西園寺グループのお嬢様で...。

なんか、仲良くなっちゃったんだ...」


「で、いま、俺、挨拶に行ってきたんだけど、

ばっさり、俺の娘とは金輪際、関わりあいを待たんでもらいたい、とか言われるかと思って、ビクビクしていたんだけど、そんなことはなくて...」


「しかも、彼女のお父さんが、父さんのポストまで、決めてくれて、それも、話聞いたら、

滅茶苦茶好待遇で、、、あの、明日にでも、

父さん、出社しなきゃいけなくなったけど、、

大丈夫なの?」


「名刺もらってきたよ。

これ、携帯の連絡先、記載してあるから

いつでも、電話してくれって言ってたよ...」


「....!!」


父さんは嬉々として。


「大丈夫だ!!

明日にも、出社できる!

そ、そうだな、ま、まずは、電話してみなきゃな...!」


倒産で大変落ち込み。

死んだ魚の目をしてた父さんは。

けして諦めてたわけじゃないと思うけど、

かなりやつれてたけど。


名刺を手にし。


息を吹き返したみたいだった。






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