第9話
このときの俺は。
放課後、とんでもない事件に見舞われることを想像だにしなかった。
校門のところでは、藤島くんと
ユーコが何やら恋人繋ぎをして、誰かを待ってる風だった。
そういえば。
藤島くんはベンツで登下校してるって噂があったことを俺は思い出した。
俺は俺で。
貞子、もとい、彼女の本名、西園寺さんと
仲良く手を繋いで下校しようとしてた。
でもな、俺、彼女に足を止められたんだ。
「もうちょっと待ってたら、うちの者が迎えに来るわ。山吹くんは、それに乗って帰ればいいから...途中、ちょっと寄り道、するけど...」
どうやら、俺。
今日は歩いてボロアパートに帰らなくてもいいようだった。
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