第38話 大賢者屋敷の完成
睡眠時間を削り、疲れはポーションで押さえ、魔力は飴と魔力スポットで補給して、大賢者の屋敷が使える程度には、大賢者区画の開発が終わった。
大賢者の屋敷は外壁と内壁の交差する角にあり、その西側に訓練施設のある女性用兵舎があり、南には孤児院が外壁側に沿ってあり、孤児院を囲むように南と西には店舗をイメージした3階建ての建物を並べて建てたのである。
その孤児院の西側に建てられた建物の、大賢者の屋敷が見える道が交差する角の建物を、私達の仮住居とした。
仮住居の1階には孤児院の子供たちから、素材を買い取る受付や、来客用の部屋を用意し、2階と3階が住居という事にして、地下通路で大賢者の屋敷に行けるようにした。
大賢者の屋敷には、大賢者の末裔がやって来た事にするが、誰も正門から出入りしないようにすることにしたのだ。
その方が神秘的で、探りに来る人物が居ても、その正体が知られる事は無いだろう。
大賢者の屋敷に有った地下通路を、仮住居と訓練施設に繋げ、元からあった地下通路をたどったら、最奥の兵舎や役所の建物に繋がっていた。
その事をハロルド様に報告すると、隣のエルマイスター家にも繋げるように頼まれ、既に繋いだのである。
最後まで問題になったのは、大賢者の屋敷の結界や魔道具を効率化したことにより、魔力スポットから湧き出る魔力が、消費する魔力より多いため、地下の魔力スポットを強力な結界で魔力の漏れ出るのを無理やり抑えている事だった。
折角なので魔石に魔力を充填する魔道具を作り、ハロルド様の持つ魔石を預かり、魔石に魔力を吸わせることにした。
魔力を充填した魔石は、魔力量が高いので高額で販売できるようになると聞き、ハロルド様に相談して実際にその魔石の見本を見せると、大喜びでハロルド様が所有する魔石を私に全て預けてくれた。
そして販売した金額の1割を私の取り分にする契約をする。
高魔力の魔石は、通常の魔石の5倍から10倍の値段で売れるそうだ。そりゃあ、ハロルド様の笑いは止まらないし、販売した金額の1割なら安いもんだろう。
更に預かった魔石の一部には、浄化してから自動で周りの魔力を吸収する効果を付与する。
その魔石は魔力を消費する魔道具に設置することで、魔道具の使用中は魔力を消費し、残量が5パーセントを切ると魔力の放出を止め、魔道具を使わない時には魔力を吸収するように作成した。
この魔石を使えば、これまで魔道具で使い捨てなっていた魔石が、使い回し可能となるのである。
魔力吸収の効果を付与した魔石を、自動充填魔石と呼ぶことにする。
自動充填魔石をハロルド様に話すと、どれほどの価値になるか分からないという。
上手く使えば、半永久的に使えるからなぁ。
ただ販売に関しては、国に相談しないと不味いと言われ、当面はエルマイスター家で使用するか、王家が使う魔道具に回される可能性が高いらしい。
ダンジョンから採取された魔石は、その2割は国に納めることになっているが、実際は他の税と合わせて4割を収めていて、しかし、今回の自動充填魔石で納めれば、非常に少なくなる可能性が高く、ハロルド様は嬉しそうに説明してくれるのだった。
それはともかく、魔力スポットの過剰魔力の対処は、ハロルド様が喜ぶ結果になり、これにより大量の魔力を消費して、当面は大丈夫になった。
後は大賢者区画の施設が使われるようになれば問題は無いだろう。
◇ ◇ ◇ ◇
大賢者の屋敷の改修については、効率化だけでそれ以上は追々にやろうと考えていた。
しかし、効率化しながらも新婚生活を妄想するにつれ、中途半端な設備に納得できなくなり、地球の設備並み、いやそれ以上の環境に作り替えていく。
優先的に取り組んだのは安全性である。
大賢者の遺産にあった、未使用の特大魔石をサーバーにして、スマートシステムを参考にしてホームシステムを構築していく。
各所に管理パネルを設置して、全てホームシステムに接続する。
地下の倉庫は全てストレージを付与したオリハルコンのホームストレージに置き換え、管理パネルで管理できるようにする。
敷地や建物、部屋単位で結界を張り、魔力紋を登録した人物以外は侵入を許可しないようにして、さらに部屋単位で入退室や魔道具の使用の許可もホームシステムで管理する。
特に2階の端の夫婦の部屋には、強固な結界と認識阻害や音の遮断までした。
音が外に漏れるのは、ま、不味いよね……。
他にもその時点の知識を使って、最高の環境を整える。
この時点のホームシステムをホームシステムVer1.00とすることにした。
◇ ◇ ◇ ◇
そして何より重要な夫婦の部屋は、すべての欲望、ゲフン……、知識を注ぎ込み作り上げるのだった。
夫婦の部屋はまるでスイートルームのように、夫婦専用の応接セットやダイニング、クレアさん、…クレアやラナ専用の部屋も作る。
クレアやラナ専用の部屋にはそれぞれ寝室や簡易の応接セット、化粧台も用意した。ウォークインクローゼットを用意しようと考えたが、よく考えるとストレージで済むと考え、ホームストレージに妻専用の領域を確保するだけにした。
自分の執務室を作ることも考えたが、スマートシステムが基本的に自分の執務室のような物なので、結局作るのを止める。
私の寝室には巨大なフワフワスライムジェルを使ったベッドだけにした。地球のウォーターベッドを意識して作りながら、3人でも余裕で寝れるようにする。
さ、三人で……、無理ぃーーー! DTに最初からそれは高難度過ぎるぅ!!!
妄想の中で、使用感を試そうとしたが、DTにはシミュレーションは不可能だった。
ど、どうするぅーーー!?
考えても結論は出るはずもなく。正直に二人に相談しようと考えるのだった。
それでも、いつかは……。
自分の未来の成長に期待する事にした。
そして迷ったが、専用の浴室も作ることにした。
でも、DTの夢でもある、夫婦のお風呂でイチャイチャ……。
もしかしたらこの世界では非常識かもしれない。
土下座してもこの夢を叶えてやる!
ハードルが高かろうとそれを乗り越えてこそ、無上の喜びはあるはずだ!
暴走する思いは止められず。泡の出るジャグジー風呂やスライムジェルで作ったベッド……休憩場所まで用意した。
これで、これで全ての準備は整ったぞぉーーーーーっ!
やっと待ちに待った瞬間が来ると、気持ちを爆発させるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
私は今晩にも正式に結婚しようと焦る気持ちを抑え、既に午後の3時の今からでは流石に無理だと思い、明日の晩には正式な夫婦になれるなら、我慢……大丈夫だと自分に言い聞かせる。
いつの間にか走り出していた勢いのまま、待機所の中に飛び込むと、ラナさん、…ラナとメアベルさんがお茶を飲みながら驚いた顔を見せてくれる。
「ど、どうかなさいましたか!」
ラナさ、ラナが焦ったように問い掛けてくる。
自分があまりにも必死な様子で待機所に来たので、何かあったのかと心配している事に気が付く。
あ、焦るな、焦るな、冷静に話をしないと。
「準備が整った!」
抑えられないよぉ~!
少し驚いた顔を二人はしていたが、すぐにラナは気が付いてくれた。
「もしかして、屋敷に住む準備が出来たのですか?」
「そうっ!」
抑えろ、抑えろぉ、これじゃ子供と一緒じゃないかぁ!
「お義姉さん良かったわね。すぐにも結婚できるのよ」
うんうん、メアベルさんも目に涙を浮かべながら喜んでくれてる。
「ありがとうメアベル。これで早ければ1週間ぐらいで、アタル様の正式な妻になれるわ」
ラナは嬉しそうにメアベルの手を握りながら、目に涙を浮かべながら喜んでいる。
んっ、………。
チョット待てぇぇぇぇえっ!
早くて1週間………、そんなに待てるかぁーーーーー!
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