引きこもり兼ツンデレな妹と過ごす俺
らかん
第1話
四月十日、今日は妹の誕生日だ。
「おーい、紬ー!」
扉をノックしても紬は出てこない。
「はぁ......そうだよな......」
深いため息をつきながらそう呟く俺氏。
妹である紬は、二年ほど前から引きこもりになってしまったのである。
その詳細は不明。
引きこもりになる前は、普通に元気に学校などへ行っていたのだが。
あの元気でかわいらしい姿が、去年は一度も見れなかった。
「なんでだろうな......」
俺が考える原因としては、友達などの関係が悪くなったからではないかと考えている。
その詳細については今の所聞き出せていない。
去年は同じ家にいるのに会えなかったのである。
部屋の扉をノックしても何も返ってこないのである。
ほんとにこの部屋に妹がいるのかと少し心配になることがほとんど。
それでも俺は、キッチンでご飯を作り、紬の部屋の扉の前にはそのご飯を置き、
しばらくして戻ってくるとご飯を食べ終えた食器が置いてあるのだ。
だから......部屋にはいるんだろうな。
「......仕方ない」
そう思った俺は、一度外に出ることにした。
外に出る理由は二つある。
一つは、今日は妹の誕生日なので、勿論誕生日ケーキを買う事。
そして......これがまためんどい用事なのだが、学校に資料なるものを届けなくてはならないのだ。
俺の名前は、
とりあえず家から二十分ほどにある学校に、俺は自転車で来た。
「なんでこんなめんどいことを......」
そう思いつつも、俺は自転車に積んだ資料なるものが入っているバッグを背負い、学校の中へと入って行った。
今は春休み。
だから、学校に来ている生徒は部活である。でも、その中でも居残りとして来ている生徒もいるみたいだ。
俺はさっさと職員室にいる、青山先生にその資料を渡すべく職員室に入った。
「あれ、青山先生は?」
「ん?ああ、青山先生なら図書室にいるよ」
「あ、分かりました」
職員室に入ると、青山先生の姿は見当たらなく、近くにいた先生がそう答えてくれた。
「図書室?......おかしいな」
青山先生は、基本的に本が嫌いである。
なぜかは分からないが......青山先生が本を読んている姿を見たことが無い。
それに、教職員全員も、青山先生が本を読んでいるのを見たことが無いらしい。
本が嫌いなのに、どうして図書室に行く理由があるのか?
俺にはよく分からなかった。
「青山先生?」
図書室に来ると、たしかに青山先生は本棚の所にいた。
「あのー先生?ちよっといいすか?」
「......あ、うんいいよ」
この感じは何だろうか。
青山先生はなにかボーとしている様に思えた。
まあそんなことはどうでもいい。
「はいこれ。言われていた資料です」
「ああありがとう。いやー、君みたいにしっかりとやってくれる人はいいね」
「いやいや、頼まれたことをするのが当たり前っすから」
「ははっ、いやほんとに助かったよ。陽翔は、この後なにかあるのか?」
「えっ?ああ、ちょっと妹の誕生日ケーキを買おうと思って」
「ああ、君の妹って今日が誕生日だったのか。いや、おめでとう」
「あ、ありがとうございます......」
「それじゃ、気を付けて帰れよ」
「はいもちろん」
図書室にある椅子に座り、先生に資料を渡して少しの間喋っていた。
「はぁ......妹ねぇ。なんとかして出てこないかなぁ......」
先生がいなくなった後に、俺はどうやったら妹である紬と会えるのかについて考えてみた。
例えは好きなおもちゃ的なもので釣るとか......いや、違うな。
もっとこう......普通に出来ないのかなぁ......。
試行錯誤すること数分。
全然思いつかず、一旦気分を変えようと思い窓を見ようと顔を上げたところ。
「やあ、君は随分と考えるのが好きなんだねぇ」
「うおっ......ビビった」
「ビビった割には、反応が普通じゃないかい?」
「わ、悪かったな......」
目の前にいたのは、俺のクラスではちょっと普通ではない少女の、
ちよっと珍しいというかなんというか、その......女子なのに、ボクっ娘というちよっと変わった女子である。
「ねぇ、何のこと考えてたの?」
「え、ええと......どうしたら妹が部屋から出てくるかなって」
「あー、そういえば陽翔には妹がいるんだもんねぇ。最近妹と色々してる?」
「は、はぁ?色々ってなんだよ......というか、妹は引きこもりだから何も出来ないっつーの」
「あーあ、つまり溜まってるってことだねー」
「ち、ちげぇよ!?」
というか、その芽衣の発言で反応する俺もちよっと異常だとは思うんだけど。
「まあまあ、そういう時には我慢しないですぐやった方がいいって」
「余計なお世話だわ!!」
ということで、芽衣はこんな感じでちょっと異常なのである。
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