第三話 真っ赤な目
タクシーで自宅へ向かっていたが、漠然とした不安で心が落ち着かなかった。
自宅マンションの部屋の解錠しドアノブを掴んだ瞬間、断片的な映像がフラッシュバックらの様に見えた。
映像が見えたと言っても視界で見ているのか頭の中でイメージされているのかその時々で違いはあるが、今回のは額にあるという第三の目であるチャクラで見えている様でその映像は頭の中でイメージとして次々と映し出された。
「深い緑色の屋根と茶色の外壁の一戸建て。ドイツ風の外観で小高い丘に建っている。一階では三十代の女性の霊……」
響子はさらに集中した。
「いいえ、三十代の女性の姿にカモフラージュしている。目が赤い。血のように真っ赤だわ。憎悪? 妬み? 途轍もない悪意しか感じられない。この家に棲み着いてるのね。この家の家族を不幸にするのが望み。魂を汚れさせ地獄へ落とし支配する。なんてことなの!? これは悪魔だわ……」
二階にも何か霊的な存在を感じたが、なにかの強い力に弾かれる様にして響子は我に返った。
「あの真っ赤な目……」
響子は漆黒の地獄の底で燃える地獄の業火さながらの真っ赤な目に怯えながら自室へと入った。
暫くして重い気持ちも落ち着き、疲れた体をベッドの上に沈めた。
それから一週間が経過し、東光大学での講演会も終えた。
学生や一般人の参加は定員五十人を超える申込みが殺到したそうだった。
テレビ番組やネット動画の宣伝効果は絶大であった。
市松人形は隔離されているが、髪の毛が伸びたりというような現象が続いている話は会場に居た全ての人を恐怖で凍りつかせた。
「すみません! 間宮響子さん! 私の家族を助けて! お願いします!」
突然、屋外で声をかけられた響子はその声の主へと振り返った。
「突然、すみません。あの、先程の講演会に参加した野口妙子といいます。どうか、私の家族を助けてください」
六十代後半位の女性は響子にしがみつくのではないかという様な勢いで懇願した。
「何があったの?」
「夫が亡くなって一年が過ぎてから次々と恐ろしい事が家で起こっています。私も息子たちも死ぬほど怯えています。どうか、家に来て助けてください」
「……分かりました。準備をして明日、お伺い致します」
響子は野口妙子から連絡先と住所を受け取りタクシーに乗った。
自宅に戻ると直ぐに心霊調査のエキスパートである友人へ電話をした。
心霊調査に同行するのは吉村賢人、鈴木健史、小池宏住職の三人である。
吉村賢人と鈴木健史は霊感はなく、科学的に霊現象を機材を使って数値化したり、音響や映像を記録する技術者である。
小池宏は寺の住職であり、霊感もある。
霊を除霊や浄霊することもできる。
間宮響子は霊能力者であり、キリスト教の信者であるがまだ悪魔祓いの認可は受けていない。
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