第10話
失敗した
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
俺はまた失敗してしまった。
俺は何にも上手くいかない、
いつもそうだ
昔から何一つやり遂げられない、
何一つ人の期待に応えられたことなんてない。
…もう、いいか─
推しの声優が枕営業してた、
嫌いな芸人がアイドルと結婚した、
応援してる鬱闘病漫画の作者に理解してくれる優しいカレシ君がいた、
やりこんでたオンゲーがサービス終了した、
読んでた漫画が打ち切りになった、
好きだった原作のアニメの出来が微妙だった、
ファンだったvtuberが事務所と揉めて中身が変わった、
長年追い続けた映画の完結作の出来がクソだった、
今はなんだって自殺の原因になる、
なれる理由が溢れてる。
だったら、俺のこれまでの人生は充分に自殺の原因に値するのではないんだろうか?
…もう、ゴールしていいよね?
─死ぬの─?
……ああ、お前か、
─今更やっと死んでくれるんだ、もっと早く死ねば良かったのに─
…悪かったよ、まさかお前が先に死ぬだなんて思わなかったんだ。
─なんで急に死ぬ気になったの?─
なんでって……、分かるだろずっと見てたんだから。
─なんだ知ってたんだ─
目の前に獣耳爆乳ふしだらロリ系純情処女ビッチ美少女メイドが現れ、全身が眩い光に包まれると、彼女の真の姿が露わになった。
ああ、そうだ お前は獣耳爆乳ふしだらロリ系純情処女ビッチ美少女メイドでも無ければ、俺の初恋相手の長谷川さんでもない。
思えばなんとまぁ安直な名前だ、
『シスタ』→sister
つまり妹。
五年前に亡くなった俺の妹、鳥越 慶子。
それがお前の正体だ。
─正体も何も、アタシはクソ兄貴のただの妄想なんですけど。─
ああ、そうだよな。
ふっ、と短く自嘲の笑い声を溢す。
……なあ、例えばだけど、自殺するんならどれが一番苦しくないと思う?
リストカット?練炭?睡眠導入剤?
─全部却下、てか無意識に死ぬ可能性が低いの選ぶあたり最高にダサいよね。
デブでニートでファッションメンヘラとかマジ救いようなさすぎてクッソウケる─
「だって死にたくないんだからしょうがないだろっっ!!!!」
力の限り机をダァン!!っと叩きつける。
─うわ、逆ギレ
しかしパソコンを避けて机叩くあたり最高に─
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっ!!
しょうがないだろっ!!
怖いんだよっっ!死ぬのが怖いのっ!怖くて怖くてしょうがないんだよっっ!!!」
手当たり次第に物を投げつけ破壊する。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」
その内投げる物が無くなってひたすら床を力一杯何度も何度も殴りつける。
痛い、殴った拳が熱くて痛い、涙と鼻水が勝手に出てきて息が出来ない。
苦しい、
苦しい、
苦しい、
俺の人生が苦しい、
皆みたく世の中を上手く息継ぎして生きていけない
─アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!
アー、みっともない、いい気味、いい気味だ!!
もっと苦しんで!もっと!!もっともっと!!!
アタシがアンタにやられた分はこんなもんじゃ足りない!
安心して、
そんな簡単に死ぬなんて許さない!
あのクソどもと合わせてこの世の地獄を味わい尽くして!!─
「うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいっ!!
……もう、許して…くだしゃい………」
俺は誰の方に向くでもなく、ひたすらに額を擦り付け懇願した。
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