恋について

@hazuki_ai

第1話 待ち合わせ場所に向かう途中で


12時10分、私は渋谷駅に向かう電車に乗っていた。



これからマッチングアプリで知り合った人と会う予定だ。


アプリで知り合った人と会うのはこれが初めてだった。


なぜなら、会いませんか?と言ってきた相手に対して、毎回返信するのをやめてしまっていたからだ。


相手が信頼できる人か分からないというのもあるし、大して知らない人と会うために出掛けるのが面倒だ、という思いもある。


それに、そもそもメッセージが続かないのも原因かもしれない。


知らない人と会話をするというのは、かなり難しいことだと思う。


対面での会話ならまだしも、文面だけの会話はなおさら難しい。


知らない人に対して、知ろうという気持ちがそもそも起きないのは何でなのか。


これはアプリ特有の事象ではないだろうか。


普段、初対面の人に対しては、少しくらいは知ろうという気持ちが起きるはずなのに。



だた、今回の相手は趣味が合うし、言葉遣いも丁寧で、何となく好感が持てた。


年上だろうが何だろうが、いきなりタメ口を使ってくる人も、呼び捨てしてくる人も、信頼することができない。


何より、そういう価値観を持った相手と合わないと思う。


そういえば、アプリの人と電話したのも、今日会う予定の人だけだった。


話しやすかった、と思う。


同い年で、これから働くことへの不安だったり、大学のことだったり、話題は尽きなかった。


アプリに載せていた顔や服装もタイプだった。



だけど、現在、すごく面倒だという気持ちになってしまっている。


これも、昨日会った友人のせいに違いない。


いや、友人が悪いわけでは決してないけど、昨日友人と会ったことで、私が恋愛に対して深く考えてしまったのである。


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