†六星の系譜†
六魔将の日常
…『精の黒瞑界』。
この名は、ただ闇を冠している訳ではない。
この世界の近くには、ヴァルディアスが支配する闇魔界を筆頭として、数多の力ある世界が存在していた。
そして、その周囲の世界から、精の黒瞑界を…
その皇家を、その民草を脅かす者を排除するべく構成された、戦いにおいても知能においても、その全てにおいて長けた、六人のエリート集団──
『六魔将』の存在は、その能力の高さからも、周囲の世界の者の、畏怖の対象となっていた。
六魔将はその名の通り、六人から構成される。
時に関する力を持つ、【
風と氷の扱いを主とする、【
雷に関する力を持つ、【
対人・対物を操る力を持つ、【
魔力を収束し、凝縮する扱いに長ける、【
歌や音、その声そのものをも己の武器とする、【
彼ら六魔将は、個々の能力もさることながら、六人で戦った時の戦闘能力は、あのサヴァイスやヴァルディアスにも匹敵するとされてきた。
彼らは六魔将の名のもとに、皇家に仇を為す者たちを、その能力でもって片端から葬り去ってきた。
ある者は対峙した時点で時を止められて首をはねられ、
ある者は吹き荒ぶ風と氷によって凍死させられ、
またある者は、凄まじい威力の雷によって感電死させられたりもした。
…だが。
そのように敵には容赦のない六魔将も、戦いにばかり明け暮れているわけではない。
外敵と戦わない時。そこには、当然ながら個々のプライベートの一環…
日常生活というものが存在している。
戦い以外に、唯一許された、限られた時間の中で…
彼らは自分たちの生を楽しみ、普段の立場からは到底出来ないであろう、自分たちの自我における生活を満たしていた。
…そして、奇しくも今日は、六魔将の紅一点である、サリア=マクレディの誕生日…
──しかし、この時には既に。
誕生日などという幸せに該当するであろう単語とは、およそ縁遠いと思われる、ひとつの惨劇が幕を開けようとしていた。
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