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…こうして、私とサヴァイスは出会った。
造られ、目覚めたばかりの私は、彼をあまり知らなかったけれど、彼は、私が生まれた時から知っている。
…そう、私の全てを知っているのだ。
…こんな感情の緩みも、揺らぎすらも彼の想定内であったとするなら…
彼は、私自身に、気持ちの整理をつけて欲しかったに違いない。
例えそれによって、私が酷く傷ついても…
私が自ら立ち直るのを期待し、それを待っていたのかも知れない。
「…ライザ」
…彼が呼ぶ。
「はい、あなた」
私は答える。
私に生を与え、伴侶にまでしてくれた…
彼の気持ちに応えるためにも。
その体に難はあっても、ひたすら生きて…、自分を愛してくれる彼の側に居ようと。
…私は、彼の言葉に答える。
…そしてその数年後に、私たちの血を引く子…
カミュが産まれた。
私とサヴァイスの出会いが齎した、ひとつの奇跡。
…そのひとつの希望は、これから未来を紡いでいく。
…その手助けが出来たこと。
サヴァイスの為に役立てたことが、何よりも嬉しかった。
†完†
執筆開始日:2006/03/15
執筆終了日:2006/03/17
【後書き】
こちらはキリ番22000の時のものですね。
サイトの方では雑談ながらに暴露していたことですが、実はこの2人は、これ以前に書いていた小説に、既に登場していました。
個人的に、一見様でも読めるようにはしたつもりではありますが、所々、こんな会話や過去の話は、本編には一切、出て来なさそうだと匂わせてあるのは、それ故です。
そちらの小説ではむしろ、サヴァイス側、つまり精の黒瞑界側が人間の敵となっており、剥き出しに表現したサヴァイスは、さながら記憶を持った状態の、あのカミュそのものでした。
つまりカミュのあの一面は、完全に父親似なわけです。
…なかなかに強烈な性格ではありますが(笑)。
そして、こちらの作品内のこの段階では、サヴァイスはまだ大人しい方です。後々のことはネタバレにもなるので、書くのは控えますが、先の小説内を経て、随分と穏やかになったのは確かですね。
それには間違いなく、ライザ以降の家族の存在があったわけですが、あまり踏み込みすぎると、家庭的な面が出すぎてしまうので、この辺りに留めました。
※なお、サイトの方では別名義の名前がありますが、あれは訳ありです。
さて、これ以降もまだ、ジャンル違いのキリ番作品は幾つかありますので、そちらもよろしければ、お目通し頂ければ有り難く思います。
【追記】
この小説… 今になって改めて読み返すと、感情をそのままぶつける書き方をしている辺り、自分自身も若かったんだなと思いますね。
若さゆえ書けたようなものです… 今じゃ恥ずかしさの方が先に立って書けないと思います(笑)。
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