間食デストロイヤー

ホムラ

間食デストロイヤー

「A102より大規模な火災発生!直ちに避難をしてください!」

警報が鳴り響く。きき飽きたアナウンスが、燃え盛る炎のようにひろがっていく。今日は何人死ぬんだろうか。そんなことを考えながらAは走っていた。めざすは火元から遠く離れたD26。比較的安全な塔のある場所だ。

「同じくA102より台風が発生しました!原因はやはり‘紐‘によるものです!」

全く、なぜこんなところに住んでしまったのか…

さらに連絡が入る。

「続報です!黄粒族が`巨人`によって大勢さらわれました!被害総数は約65名ほど!」

「さらわれた黄粒族が‘黒き山‘へ入れられていきます!」

‘黒き山‘へ入ったものはその身を焼かれる。古くからの言い伝えだ。そこに入っていって生きて帰ってきた者はいない。同僚のYも入れられてしまったのだろうか。

「‘黒き山‘に膜が下りていくのを確認!‘黒き山‘が密閉されました!」

‘黒き山‘には一定の確率で‘膜‘が下りてくる。なぜなのか。それは‘巨人‘にしかわからないことである。そしてその後はだいたい…

「‘黒き山‘が突然の噴火を始めました!」

しかし、今回はいつもとは少し違うものを感じた。

「違う!爆発しているのは黄粒たちだ!」

モニターに爆発して色を失った黄粒たちが映し出される。

「なんてむごい…」

「追悼は後だ!早く逃げろ!」

逃げまどい、混乱する群衆の中をA達は駆け抜けていく。

「‘黒き山‘の密閉が解除されました!」

それと同時に‘黒き山‘に緑の滝が落ちていくのが見えた。

‘黒き山‘がジュッと音を立て、少し燃えると今度は緑と白の雪が降るのが見えた。

それと同時に台風は止み、人々も静まった。火はいつの間にか消えていた。

‘黒き山‘によって燃え尽きた白粒は器へと盛られる。すると巨人が独り言を呟いた。

「やっぱりポップコーンはのり塩よね~♪コンソメ派は滅びるべきだわ!バター醤油なんてもってのほかよ!」

まったく意味は分からないが、我々を襲う災の終わりを示すチャイムが鳴ったことを伝えるには十分すぎるほどだった。

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間食デストロイヤー ホムラ @homuhomu2021

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