その後……

 その頃、リンドブルム城内では……。


 「どうだった?」

 「ははっ! 陛下の仰った通り、アレク様はカラカスにてエドガー様に接触した様です!」

 「やはりな……」

 「しかし陛下の指示通り、アレク様に監視をつけておいて正解でしたな……」

 「ふむ……」


 赤い絨毯が階段の上にある王座に向けて伸びる空間、その絨毯の上に立つ髭を生やした初老の男バラスは、王の椅子にどっしり座る山賊の様なヒゲを生やした大男に告げた。

 そして、そんなバラスの言葉を聞いた大男は髭を二度なぞると一気に立ち上がり、こう宣言するのである。


 「バラス、兵士達に伝えよ! 今からバカ息子を連れ戻すべくカラカスへ出兵する準備をせよ、急げ!」

 「は、ははっ!?」


 そしてバラスは両開きの大きなドアをバンッと開け、部屋を飛び出していった。


 「アレクの馬鹿者が珍しく役に立ったな。 エドガーを慕っておるから監視をつけていたが、やはりワシの予想通りだったな……」


 残された部屋の中で一人、大男は不愉快そうな表情を浮かべつつ再び席についた。


 男の名は、ウォルバート・フォン・リンドブルム。

 そう、彼はエドガーとアレクの父であり、リンドブルムの国王、そしてエドガーの幸せな今の生活を壊しかねない存在なのである。


 だが、そんな男が動き出してしまった原因は、例の言葉を吐いたクルシナがアレクに助言したのが始まりではなかろうか?

 もしかしたら、例の言葉の呪いはまだ始まったばかりなのかもしれない。

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