第14話 焼肉屋

ドキドキした

同窓会は、私たちがすんでいた隣り町にある

焼肉屋だった


しばらく帰らないうちに

オシャレなお店が増えていて

街並みも新鮮に見えた


由香ちゃんとは駅で待ち合わせをして

お店に向かった


「リンちゃんまた痩せた?」


由香ちゃんが私のウエストを手で触れる


「痩せてないよ・・・うまく隠してるの」


そんな女子の久々トークをしながら

店に入ると

今日は貸し切りらしく

もう既に

店内では懐かしさを語り合う声がしていた


受付を済ませ

中に入ると

ワイワイとにぎわっていて

正直、誰が誰なのかも分からなくて

由香ちゃんと私は隅の方に座った


「結構、多いんだね

圧倒されちゃうね」


由香ちゃんは私の耳元で言う

私も顔を引きつらせながら頷いた


みんな楽しそう


けっこうラフな格好の子多いな

気合入れて来たみたいに見えるかな?


この日のために

私は普段はあまり着ないような

フェミニンなワンピースを買った


それを気にしていることが由香ちゃんんに伝わったのか?


「リンちゃん都会感が目立ってる

一番美人かも・・・」


そういって褒めてくれた


ニコリとほほ笑んで

グラスに口をつける


「佐久間さん」


声をかけられて

振り向くと


そこには長身のさわやかな男性が立っている


彼がにっこり微笑むと

直ぐに分かった


理玖だ


あの頃より

体格が良くなって

男らしさが増している

しかも

”佐久間さん”なんて名字で呼ぶから

すぐには分からなかった


私がぺこりと頭を下げると


「あっ祐子だ!!私、話してくるね」


由香ちゃんは白々しく

他の友達に声をかけに行った


理玖は由香ちゃんが離れた席に座り


「久しぶりだね」


そう言って

あの頃と変わらない笑顔でほほ笑んだ


いつぶりだろう

彼の笑顔


最後の最後まで

彼と目を合わせることもできなかったから

もう忘れてしまっていた


私の中に残っていたのは

彼が苦しそうに泣いている姿だったから・・・


「久しぶり」


私も彼の笑顔いに笑い返して

私たちはしばらく

話をすることになった

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