食べずらくない?
「なんだよ甘々な時間って」
「とりあえずあ〜んしてよ!」
食べ終わるまで終わらないやつだこれ、ここで抵抗しても意味ないし言うことを聞くしかないか
さっきよりも多くシチューをすくって月夜に向ける。
「ほら口開けろ」
「あ〜ん」
シチュー口に入れると顔を上に向けて俺の方を見てくる。食べているから喋れないけど目を見ればだいたい何が言いたいのかわかる。
俺も冷めないうちに食べよ。
月夜が上に向けている顔の上から腕を伸ばしてシチューをすくうけどこのまま口まで運ぶと確実に月夜にこぼすな、しょうがない
「ちょっと前かがみになるぞ」
月夜に覆い被さるようにして体を前に倒してシチューを口に入れる。
ん〜美味しい、未だにこれを月夜が作ったなんて信じられないんだけど……完全に俺の好みドンピシャの味してるぞこれ、止まらずにどんどんとシチューを口に運んでいく。
「・・・・・・あ、ごめん月夜」
月夜が居るのを忘れてすごい前かがみになったから完全に月夜が隠れてしまっている。
体制を戻すと月夜の顔がポッと赤くなっていた。
なんで急に?もしかして傷口から菌が入って熱でも出たのか?耳まで真っ赤だし、ちょっと心配……
「お、おお、お兄ちゃん!?そんな積極的に、まだ心の準備が」
するだけ損だったか、積極的にってただシチューを食べるために前かがみにになっただけだし、そもそもいつも疲れるくらいベタベタに絡んでくる月夜が今ので顔赤くなるんだよ、
「いや、食べるために前かがみになっただけだから、そんな事言ってるとシチュー冷めるぞ」
「お兄ちゃんもう食べさせてくれないの!?」
「自分で食べれるだろ!」
顔の赤さが引いていっていつもの調子に戻った。月夜のその反応の差はどこにあるんだよ……膝の上に乗ってシチューを食べさせてもらうのは大丈夫でちょっと覆い被さるようになったら
「まぁ膝の上に乗せて貰ってるし許してあげる!」
「ありがとうございます」
なんか許してもらったけど元々全部食べさせる約束じゃなかったよね?今日はかなり甘くしてる方だよ?
いつもだったらすぐにでも俺の上からどかすところを今日は晩御飯を作ってくれたこともあるしそのままにしてあげてるけど
「でもこのままだとちょっと食べずらいんだけど」
「それは我慢して♪」
「いやいやいや」
「じゃあ私が食べさせてあげよっか!」
「このままで大丈夫です!」
この状況を悪化させるのは実によろしくない。ここは我慢してこのまま食べるか
月夜が口にシチューを入れたタイミングを見計らって体を前にしてシチューを食べる。なんでただシチューを食べるだけなのにこんな面倒なことをしないといけないのやら
でもそんな食べ方をしていてもシチューは減っていきついにお皿の中がからになった。
「は〜、ご馳走様」
お皿を片しに行きたいんだけど月夜はまだあと少し残っている。
「お兄ちゃんちょっと待てね!」
俺に合わせるためか月夜はお皿に入っていた残りのシチューを全て口に入れた。そのせいで頬がパンパンになっている。この身長でそれだとまるであれだな
「ハムスターかよ」
最近MeTubeで見たひまわりの種を口いっぱいに入れてるハムスターと瓜二つなんだけど、わざわざ急いで食べなくてもそのくらい待つからそんなに急がなくてもいいんだぞ?
「
そう言って口をパンパンにふくらませたまま俺のお皿と自分のお皿を重ねて俺の上からどいて流し台にお皿を持っていく。
「ありがとな」
流し台の方から帰ってきて隣に座ると思いきや当然のようにまた俺の上にちょこんと座る。いや無理やり体をねじ込ませるようにしてテーブルと俺の間に入ってくる。そして俺の手を自分の頭の上に乗せる。
「なんでわざわざここに入ってくんだよ」
「今日だけなんだしいいじゃん!」
まぁ今日くらいいか、明日からは絶対にやらせないし、これ以上月夜の兄離れが難しくなったら大変だ。
そこんところ両親はどう思ってんだろうか
「で!今日何があったの!?」
食後だからちょっとゆっくりしたかったんだけど無理そうだな、さっさと話して解放してもらお
「いや、今日たまたま懐かしいやつとばったり会ってさ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます