シチュー


月夜に半ば強引にいつのも席に座らせらた。まさか月夜があそこまで積極的に来るとは……これからはこれまで以上に注意しないとな、明らかに小さい頃とは違うベクトルのキスだったよな?いや、もしかして小さい頃からそういう意味でしてたのか?う〜む、分からない、ただ少し、ほんの少しだけドキドキしてしまった……やっぱ疲れてんな〜


疲れた理由気になってたけど言わないとだよな、まぁ別に隠すことでもないんだけど


テーブルに目を向けるとシチューが用意されていた。

そう言えば最近テレビで見てシチュー食べたかったんだよな〜、お母さんが作ったのかな?


「いただきます」


スプーンを持ってシチューをすくいあげる。


「・・・・・・なに?」


月夜、いや家族全員が俺の方をじっと見てくる。え?なんかしたっけ?そんな見られるとすごい食べずらいんだけど、しかも月夜ちょっともじもじしてるし

まぁいっか、特に何もないだろうし


「・・・お〜なんかいつもと違う」


「それはいい意味よね?」


なんでお母さんちょっと声が弾んでるんだ?


「うん、なんか俺はいつものより好きかな、なんか変えたの?」


そしてなんで月夜はどうしてそんな顔赤くしてんの?お父さんとお母さんはずっと微笑んでるし、え?なに?このシチューなんか入ってんの?すごい怖くなってきたんだけど


「実は今日のご飯月夜が作ったのよ!」


「・・・・・・え?」


え?月夜が作ったって言った?あのクッキーをも真っ黒にする月夜が?そう言えばテレビ見てた時月夜も一緒に居たな、もしかしてそれで作ってくれたのか?


「私の作ったやつの方が美味しいんだ」


「俺はこっちの方が好きだな」


顔を赤面させてるけどいつもの方がよっぽど顔が赤くなるような事してるからね?


ん〜でもなんて言ったらいいかわかんないんだけどなんかいつものシチューと違うんだよな、こっちの方が美味しい


「良かったわね月夜」


「・・・うん」


「よくやった湖月」


なんかお父さんがこっちに向かってグッジョブみたいな事してるんだけどなんかした?


・・・・・・ん?


「月夜、絆創膏なんて貼ってたっけ?」


そう言うと少し絆創膏してる指を隠そうとする。

あれ?今日帰ってきてから絆創膏してなかったよな?


「ちょっと切っちゃって」


「大丈夫か?」


「うん」


やっぱりいつも料理なんてしてないから怪我したのか、そんなに深く切ってはなさそうでよかった。わざわざ苦手な料理を俺の為にやってくれたのか、怪我してまで


ポンッと月夜の頭の上に手を乗せてゆっくりと頭を撫でてやる。


「ありがとな月夜」


「・・・・・・お兄ちゃん!」


これで月夜の中の何かが吹っ切れたのだいつもの調子に戻って


「お兄ちゃん私が食べさせてあげるよ!」


月夜が自分のスプーンで俺のシチューをすくいあげて俺の方に向けてくる。


「私達のことは気にしなくていいわよ!」


「男なら覚悟を決めろ!」


なんでうちの親はこうも月夜の兄離れを協力してくれないんだよ、このまま大人になってもいいの?マジで結婚できなくなっちゃうんじゃない?いくら月夜がモテて告白されようが俺以外に興味なかったら意味ないんだよ?


もうこれは断れない雰囲気出てるししょうがない、食べるか。月夜が向けてきてるスプーンを口に入れる。


「どう!お兄ちゃん!」


「食べさせてくれたくらいで味は変わんないけど美味しいよ」


「良かった!」


そう言うと月夜は口を開けて何かを待っている。


「ん?どした?」


「わかるでしょ?ん、ん」


そう言って口を指さしている。もしかしてこれ食べさせてあげたんだから私にも食べさせてよ!って言うことか?


お母さんお父さんこれは流石に、と助けを求めるように目を向けると行け行け!と目が言ってる。この親に助けを求めた俺がバカだった、やらないと終わらないやつだなこれ


月夜のスプーンを手に持ってシチューを1口分すくって月夜の口に入れる


「これでいいのか」


食べてるか喋れないけど全力で頭を縦に振っている。問題なかったようでよかった、自分ですくって食べてた時よりもじっくりと味わってるけどなんか変わるかな?


「お兄ちゃん全然味違うよ!」


「そうか?」


「うん!食べさせてもらった方が断然美味しい!」


え?そんなに味変わる?そこまで言われると確かに違うような気がしてきた、


「しかもお兄ちゃんと関接キス!」


「あ、」


「ふふっこれも作戦の内なのです!」


勝ち誇ったようにピースを向けてくる。

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