第十四話

                第十四話  控え選手

 レギュラー陣は決まった、そして二人目のキャッチャーとバイプレーヤーもである。だがそれだけでは足りない。

 それで拙者は三人目のキャッチャーである岩崎殿と助っ人であり控えのファーストかつ代打の切り札交流戦等では指名打者を考えているグラバー殿そして控えの外野手である山本殿にもお話した。

 岩崎殿は太い眉に四角い顔と分厚い唇、バタ臭い感じの目を持っておられるがっしりとした体格の御仁である、去年は正捕手として坂本殿ともよくバッテリーを組んでおられたという。フロントではお金のこともお願いしている。拙者はまずはその岩崎殿にお話した。

「基本ブルペンで投手陣のボールを受けて頂きまたいざという時は」

「わしがマスクを被るきに」

「そうして頂きたい」

「任せておくぜよ」 

 太く大きな声で笑って言われた。

「わしは勘定が得意じゃきに」

「リードには自信があるでござるな」

 拙者は岩崎殿に敢えてお聞きした、実はリードでは強引で強気な清海や党首に合わせ過ぎるきらいのあるよりはバランスが取れていると思う、ただ忍ならではの素早さと目の良さからくるキャッチングのよさそして抜群の強肩と送球の性格さ大柄な身体故のホームを守る能力を考えるとやはり正捕手は清海と伊佐になる。岩崎殿は二人よりキャッチングや肩、送球の正確さ、敏捷さそして体格が劣る。バッティングはさらにだ。

 だから拙者は岩崎殿を三番手の捕手としたがその岩崎殿に問うたのだ。

「そうでござるな」

「そうぜよ、だからいざという時はな」

「お任せするでござる」

「任せるぜよ」

「そして私はですね」 

 グラバー殿はイギリスそれもスコットランド訛りの日本語ではなく整ったそれで拙者に言われた。この時代ではアメリカオクラホマ州からの助っ人である。あのランディ=バース殿の出身地から来られ昨シーズンは三番ファーストとして活躍された。

「控えそして」

「代打の切り札としてでござる」

 その抜群の長打力と驚異的なバットコントロール、比類なき安定感と桁外れの勝負強さからのことだ。

「そして指名打者としてもでござる」

「私は登場しますか」

「そうしてもらでござる」

 交流戦そしてシリーズの時は貴重な戦力である、清海そして伊佐と並ぶチームのパワーヒッターである。他チームと比較してどうしても長打力に欠ける我がチームにとっては有り難い御仁である。

 拙者もそのことがよくわかっている、だからこそ拙者は今グラバー殿にお話している。レギュラーでなくとも貴重な戦力tして活躍して頂くと。

 グラバー殿も頷いてくれた、そうして代打の切り札及び指名打者として活躍して頂くと納得してもらった。これでグラバー殿の起用も決まった。

 そして野手の最後の一人山本殿にもお話した。

「山本殿もでござる」

「控えとしてじゃのう」

「山本殿はセンターを守って頂いていました」

 拙者達が入団する前はそうだった、強肩と堅守そして俊足それに巧打の外野手として活躍してくれていた。それはさながら中日や西武で活躍された平野謙殿の様であった。

 その守備と走塁、それに巧打は控えでも必要だ。何よりも長いペナント何があるかわからない。外野手も怪我をする可能性がある。怪我には充分に気をつけているつもりでもどうしても出てしまう。それが短期であってもだ。

 戦力は離脱してしまう、だから拙者は山本殿にお願いした。

「何かあればすぐにでござる」

「外野のどのポジションでもぜよ」

「守って頂きバッターとしてもでござる」

 打率もパワーも十勇士達より劣る、しかしだ。

 流し打ちとバントは天下一品何よりも出塁すれば盗塁も狙えるし走塁もお見事だ。それなら言うことはない。

「活躍してもらうでござる」

「わかったぜよ」

「これで野手の起用は決まったでござる」

 内野外野捕手そして控えに至るまでだ。

 だが野球は野手だけで行うものではない、当然ながら投手陣も重要だ。むしろ投手陣は野球で最も重要なポジションと言っていい。

 それでだ、拙者は野手陣の起用を決め手もまだすべきことがあった。それは投手陣のことである。自他共に認める十二球団最強にして最高の投手陣をどう起用していくか、拙者はこのことを考えることになった。



第十四話   完



                 2021・6・13

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