「僕には歌詞が書けない」相川結月

ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm38090534


Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=z8169_qzc-c


まず一曲目。2021年1月8日に投稿された、『僕には歌詞が書けない』だ。投稿者は相川結月あいかわゆづき、使用音源は琴葉茜ことのはあかねだ。

この曲を聴いた私はまずこう思った。

「いや、書けてるやん」


そう、この曲、「僕には歌詞が書けない 語彙が無いってもんじゃ無い」という歌詞から始まるのだが、この段階ですでに矛盾が生じている。書けてるやん。矛盾から始まるという要素で私の心は鷲掴みにされた。これはヤバい。


この曲は、歌いだしからラストに至るまで、ずっと「歌詞が書けない」ということを歌っているのだが、ただ書けないことを嘆いているだけではない。

「みんななんでそんなイカしてる歌詞を書けるんですか」

「もがいたって無駄か」

「どうして僕は君になれなかった」

歌詞を書けないことに対する嘆きだけではない。もっとドロドロした嫉妬心がこの歌からあふれ出ている。「君」というワードが出てくるあたり、曲作りにおける嫉妬、絶望が強く感じられる。そして最後のサビはこうだ。

「僕には歌詞が書けない 諦めようか」

「嫌だ そんなどうしようもない宿命ならば」

「僕の今まで紡いだ努力を返して」

もはや心の叫びだ。「努力を返して」なんて、そうそう出てくるものではない。これ以上ない苦しみがこのラスサビに込められている。


そしてこの歌詞を歌い上げるのは、VOICEROID(ボイスロイド)の琴葉茜だ。もともと歌唱用ではないが、「歌うボイスロイド」として歌唱に使用している楽曲は多い。有名なところで言えば、GYARI(ココシガP)の『何でも言うことを聞いてくれるアカネチャン』などがある。

今回の楽曲も「歌うボイスロイド」楽曲の一つであるが、その歌唱もまた凄い。

先に述べた通りこの曲の歌詞には凄まじい感情がこもっている。この歌詞を茜は叫ぶように歌い上げている。間違いなく電子音の歌声なのに、そこには感情があるかのようだ。琴葉茜渾身の歌唱であろう。

また、こんなに強い歌詞、歌唱であるが、曲調は全体的にポップであり、明るい演奏に茜の声が凄く映える。聴き心地の良いメロディーで、聴いた人の耳からなかなか離れないだろう。


そして、この楽曲にはPVがつけられているが、イラスト、動画の両方を楽曲作成を行った相川結月が制作しているというのだから驚きだ。歌詞書くだけじゃなく絵も描けるなんて優秀すぎる。この楽曲はぜひPVも合わせて聴いてみてほしい。

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