(参加作品その11)R.G.C. -ローゼンガールズ・コレクション- (岩井喬様)

   

『R.G.C. -ローゼンガールズ・コレクション-』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895458684


【コンテスト】第8回オーバーラップ文庫大賞(第1ターン)

【一次選考通過数/応募総数】55作品/271作品



(私からの一言)

 第1話はわずか一行しかないので、第2話が実質的な第1話になると思うのですが、その第2話を読んだ印象は「戦闘シーンが上手く書けている」というものでした。

 簡単な紹介を兼ねて、この第2話(実質的な第1話)と続く第3話では、たくさんのキャラが登場します。それぞれが戦うので動きも多くなるのですが、そこで「わかりづらい」という感覚がありません。

 いくつかの前の作品で「視点が固定されないと読みづらい」という話をしたと思いますが、その逆バージョンですね。その時の作品は三人称でしたが、この作品は語り手の設定された一人称小説なので、前提からして少し異なりますが……。

 語り手の視線の行き先が、かなり固定されている。そう感じました。例えば戦闘シーンで、攻撃する側とされる側に視線が行き来して一文ごとに主語が入れ替わったら、読者も頭の中で視点をあっちこっちに動かす必要が出てきますが、この作品はそれがない。きちんと片側に焦点を合わせたまま、記述が進んでいきます。

 もちろん、完全に固定ではありません。相手側を目的語ではなく主語にして表現せざるを得ない場合も時たま出てきて、その時は読者の視点も動いてしまいますが、それが必要最低限なので煩雑に感じません。

 こういうのを上手く書けるかどうかが、戦闘シーンを書く際のポイントの一つだと私は考えています。しかしそればかり意識していると書きたいものや書くべきものが書ききれなくなるので、書き手としての私は、実際にはほとんど意識せずに執筆していますし、あまり実行できていません。

 この作者様の場合も、おそらく視点の固定を意識しているわけではなく、戦闘シーンをわかりやすく書こうとした結果、無意識でこうなっているのだろう。そのように私は想像しました。

 そう想像した根拠の一つが、後々の戦闘シーンでは冒頭の戦闘シーンほど視点の固定を感じなかったからです。しかし冒頭の戦闘とは違って人数が少ない場面であり、特にわかりにくいとも感じませんでした。意識して表現技法を徹底させるのではなく、場面場面に応じて無意識のうちに書き方が多少変わっているのだろう、と考えた次第です。


 内容としては、前半部は、主人公と三人のバトルヒロインのクエスト的な内容。それぞれ一人ずつとコンビを組んで、戦闘イベントが発生します。一緒に戦うことで親密度もアップしますし、それが一人ずつなので、ゲーム的な展開だと感じました。昔の言い方ならば、アドベンチャーゲームやビジュアルノベル、今はギャルゲーと呼ばれるのでしょうか。一人一人ヒロインを攻略していく、みたいな感じです。

 ある意味、王道展開ですね。安心して読み進めることが出来ます。そんな安心感を抱いたのも束の間、後半部はガラリと雰囲気も変わるのですが……。

 そこから先は、ネタバレになるのでやめておきましょう。

   

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