第三十六話 探索割り込み
解放された『数量指定Ⅰ』スキルのおかげで一〇〇個、二〇〇個、三〇〇個とまとめてクズの魔結晶を破壊してもらい、一気に吸収して再生スキルを成長させていく。
すでに☆一つの対象物を普通品質で再生させることには失敗しなくなり、中品質もかなりの成功率にまで上がってきていた。
────────────────────
>【再生】スキルがLVアップしました。
>LV14→15
>解放:☆の成功率1%上昇
>解放:武器防具成功率10%上昇が解放されました。
────────────────────
スキルステータス
パッシブスキル:☆成功率上昇14%上昇 武器防具成功率10%上昇
アクティブスキル:☆素材合成 数量指定Ⅰ
――――――――――――――――――――
解放されたスキルは、たぶん武器防具の再生成功率を上げてくれるやつっぽい。
☆や品質に関係なく10%をあげてくれるのかな。
これもあとで中古品を再生する時に確認しないと。
新たに解放されたスキルの確認は後にして、さらに多くの魔結晶を破壊して経験値として吸収していく。
クズ魔結晶の数が減っていくのに比例して、再生スキルのLVは上がっていた。
────────────────────
>【再生】スキルがLVアップしました。
>LV19→20
>解放:☆の成功率1%上昇
>解放:道具成功率10%上昇が解放されました。
────────────────────
スキルステータス
パッシブスキル:☆成功率上昇19%上昇 武器防具成功率10%上昇 道具成功率10%上昇
アクティブスキル:☆素材合成 数量指定Ⅰ
――――――――――――――――――――
さっきの武器防具に続いて、道具の成功率が上がるスキルが解放された。
これもあとで確認してみた方がいいな。
成功率が上がるスキルは、高品質な物を安定的に作り出せるようになるから、どんどんと解放されていってほしい。
クズ魔結晶の残りも半分くらいか。
経験値もけっこうかかるようになってきたし、LVも上がりにくくなってきた。
残りのクズ魔結晶の数を見ながら、さらに経験値の回収を続けていく。
────────────────────
>【再生】スキルがLVアップしました。
>LV24→20(25)
>解放:☆の成功率1%上昇
>解放:☆☆成功率1%上昇
>解放: 装備合成Ⅰが解放されました。
────────────────────
スキルステータス
パッシブスキル:☆成功率上昇24%上昇 ☆☆成功率4%上昇 武器防具成功率10%上昇 道具成功率10%上昇
アクティブスキル:☆素材合成 数量指定Ⅰ 装備合成Ⅰ
――――――――――――――――――――
最後のクズ魔結晶を一気に吸収したところで、また別のスキルが解放された。
装備合成Ⅰとか出たけど、素材合成とは違うのかな?
武器防具関係の新しい合成かもしれない。
品質とは別に強化とかできるかな?
「ロルフ君、これで全部吸収できたわね。どれくらい成長した?」
「えっと、けっこう成長しましたね。数量指定以外にも3つほど解放されたし、普通品質は完璧に再生できるし、中品質もほとんど成功できるくらいまでにはなった感じです」
「すごく成長したみたいだね! 帰ってきたら、ベルンハルトさんたちにも報告しないと」
「ええ、クズ魔結晶はベルンハルトさんのお金を出してもらってますし、成長した内容はきちんと伝えておかないと――」
クズ魔結晶からの経験値吸収を終え、成長した内容をエルサさんに伝えていたら、隣で休憩していたリズィーが急に立ち上がり、破壊した壁の方へ向かって唸り始めていた。
「どうしたの? リズィー?」
唸り声をあげていたリズィーが吠え始めると、破壊した出入り口からフィガロさんたちが入ってくるのが見えた。
「ロルフ君、その犬っころはちゃんとしつけておきたまえと言ったはず。なぜ、私に向かって吠えさせるのだ」
ガトーさんとアリアさん、それにパーティーのメンバーをほとんど引き連れてきてる。
なんで、こんな場所にフィガロさんたちが?
突如現れたフィガロさんたちに対し、警戒を強める。
吠えたてるリズィーをエルサさんに渡すと、庇うように前に出た。
「何か用事ですか? ここはフィガロさんたちが来るような場所ではないと思いますが?」
フィガロさんは今までずっと野外の魔物を狩る依頼しか、してこなかったはずなのに。
なんでダンジョンに入ってきたのだろうか?
「そんなことを君に言う必要はない。ダンジョンはどんな冒険者にも門戸を開いている場所なはずだが」
「それはそうですが……」
「で、あればそこをどきたまえ。我々は水没区画の探索をするのだ。アリア、水中呼吸の魔法を」
「承知しました」
隣に控えていたアリアさんが、杖を構え魔法の詠唱に入る。
「中はどうなっているか不明ですよ! 今、ベルンハルトさんたちが探索をしてるところです」
「私たちは、私たち独自で探索をさせてもらうだけだ。君に止められるいわれはない」
内部がどうなっているか分からないのに、多人数で入っていくなんて危険すぎる。
それに下手したらベルンハルトさんたちの命綱が、フィガロさんたちのと絡まる可能性も!
フィガロさんたちの行動を停められると思えないため、すぐにベルンハルトさんから預かったイヤリングを耳に付けて話しかけた。
『ベルンハルトさん、大変です。緊急事態が発生しました』
『ロルフ君か? どうした緊急事態とは?』
『すみません、フィガロさんたちのパーティーが急に来て自分たちも水没区画の調査をすると言い始めてまして。今、入っていくところです』
『フィガロ殿たちが? 中はけっこう狭い通路だから、それはかなりマズいな』
『一旦、安全確保のため探索を中止します? 今なら命綱も絡まずに引き上げられると思いますが』
『ああ、その方がいいだろうな。すぐにヴァネッサのと一緒に引き上げてくれるか』
『分かりました。すぐにやります!』
イヤリングでの通話を終えると、話を聞いていたエルサさんに視線で命綱を引き上げるように促す。
「フィガロさん、今から二人を引き上げるので探索開始はあと少し待ってください! 中の通路はかなり狭いそうなので多くの人が潜れば事故が起きます!」
必死にベルンハルトさんたちの命綱を手繰り寄せながら、水の中に入ろうとしているフィガロさんたちを引き留める声かけを続ける。
「ロルフ君、私は君たちの探索遊びに付き合っている暇はないのだよ。邪魔をしないでくれたまえ」
フィガロさんたちが水に入っていくのを止めないと見たリズィーは、エルサさんの足元から駆け出すと、フィガロさんに突進してマントを噛んで引き留めていた。
「この犬っころめが! 私のマントに汚いよだれがつくだろうが!」
「リズィー! 逃げろ!」
フィガロさんは、マントを噛んだリズィーを蹴ろうとしたが、蹴られる寸前に噛んで引っ張っていたマントを放され、バランスを崩して尻もちを着いた。
蹴られるのを回避したリズィーは、悠々と歩きながらフィガロさんの顔を踏んでこちらに戻ってくる。
フィガロさんの滑稽な姿に、彼のパーティーメンバーからも失笑が漏れてくる。
「ロルフ君、その犬っころを私に渡したまえ――」
「悪いがそれは無理ですな。リズィーは我が『冒険商人』の大事な一員ですので」
「うちのリズィーちゃんは、しつけが行き届いててルールに厳しい子でね。探索に割り込みかける行儀の悪い子を許せなかっただけよ。まさか、大貴族様の嫡男様がルール破りなんてされてませんわよね?」
怒りの表情を見せ、リズィーに詰め寄ろうとしたフィガロさんの前に、水から上がってきたベルンハルトさんとヴァネッサさんが立ちはだかった。
「ふん、私がそのようなことをするわけがあるまい。ちょうど、ベルンハルト殿たちは休憩されるようですから、代わりに探索に入らせてもらう。いくぞ、ガトー、アリア」
二人に睨まれたフィガロさんは、バツの悪そうな顔をすると、メンバーたちを引き連れて水没区画の中に入っていた。
「ふぅ、ロルフ君、エルサ君、引き上げご苦労だったな。彼が探索に割り込んでくるなんて全くの予想外だった。一日無駄にすることになるが、狭い水没した通路の中で大人数の探索などしたくないから、今日は荷馬車に引き上げるとしよう」
身体に巻きつけた命綱を解いたベルンハルトさんは、使った縄を巻き取りながら今日の探索の打ち切りを宣言していた。
「お二人が無事でなによりです。色々と成長したこともあるんで、荷馬車の方で報告させてもらいますね。また、できることが増えました」
「ロルフ君のスキルが成長したら、あたしのスキルも強化されたみたいで。すごいことになってるみたいです」
「あらー、それは楽しみね」
「それは早く聞いてみたいものだな。じゃあ、すぐに片づけて荷馬車に戻ろう」
それから手早く片づけを終えると、今日の探索を終えて荷馬車に戻ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます