第十九話 新たな力



 素材合成ってあるけど、何だろうか。


 何かと何かを合わせると、別の物に再生されるってことかな?



「エルサさん、スキルが成長して何か新しいことができるようになったみたいです」


「新しいこと? スキルが成長するのは知ってたけど……」


「素材合成って書いてあるんで、何かと何かを合成できるようになったんだと思うんですが、似たような合成スキルというレアスキルがあると神官様に聞いたことがあるので」


「合成スキル?」


「ええ、合成スキルはレシピと言われる組み合わせで、新たな物を作り出すスキルだと聞いてます。今回再生スキルに備わった力は、それに似た物じゃないかなと思ったりしてますが」



 困惑顔をしているエルサさんであるが、自分も同じようにとても困惑している。



 壊れてる物を新品に再生させるだけでも、とんでもない力を持っているスキルなのに、成長するうえ、他のレアスキルの力まで備わるとか、神官様たちが知ったら卒倒しそうなスキルになってるよ。



「いちおう確かめてみたいので、色んなものを破壊してもらっていいです?」


「い、いいけど」



 エルサさんが手袋を取ると、周囲にあった物を破壊スキルで破壊していった。

 破壊された物が、淡い光を帯びて空中に浮かんでいく。


 その中に赤い色で光る物があった。



 薬草と毒消し草が光ってるよな……。



 同じ色で光っている二つを両手で触れる。



>右手:薬草(廃品) 左手:毒消し草(廃品)


>素材合成可能品がセットされました。


>この二つを素材合成しますか?


 神の声に促されるまま了承をしてみた。


 すると、再生スキルが発動する。


―――――――――――

 再生スキル

  LV:5

  経験値:0/36

  対象物:☆回復薬(分解品)


 >回復薬(普通):94%

 >回復薬(中品質):74%

 >回復薬(高品質):54%

 >回復薬(最高品質):24%

 >回復薬(伝説品質):14%

―――――――――――


 発動した再生スキルから回復薬を選び、普通品質で再構成をしていく。


>回復薬(普通品質)の再構成に成功しました。


>レシピが解放されました。


>薬草×毒消し草=回復薬


>回復薬(普通品質)


 回復量 30


 資産価値:二〇〇ガルド



 再生を終えたことで、手の上には丸い形状に変化した回復薬ができあがっていた。



 回復薬ってたしか、薬草と毒消し草を干してすり潰したのを丸めて固めた薬だったよな。


 それを素材合成で手順を省いて作り出せるってことか。



 手に現れた回復薬を見たエルサさんの眼も点になっていた。



「ちょ、ちょっと! ロルフ君!? 薬になっちゃったよ!」


「やっぱり合成スキルみたいに、二つ素材から新しい物が作れちゃいましたね。これ、回復薬ですよ」



 手に中にあった丸薬を口の中に放り込むと、苦みが広がった。


 本来ならこれで、血液が増えたり、傷の治りが早まったり、血止めがされるが今は傷を負っていないので、ただの苦い丸薬でしかない。



「苦味があるんで、ちゃんと効果は発揮しそうですよ。これでも買うと一つ二〇〇ガルドしますからね」


「すごい、破壊した素材を使って合成できるなんて。やっぱ、ロルフ君、すごいよ!」


「でも、僕の力はエルサさんがいないと使えないんで、エルサさんがすごいんです」


「あたしの忌み嫌われた力を、そう言ってくれるのはロルフ君だけだから」



 一瞬、エルサさんが悲しそうな顔をしたので、彼女の手を握ると話題を変えることにした。



「エルサさん、合成に成功するとレシピとして記録されるみたいなので、もっと他にも合成できるものないか探してみましょう」


「うん、そうしよっか! もしかしたらすごいものを合成できちゃうかもしれないし」



 森の中に移動すると、エルサさんは近くの木や雑草を破壊していく。


 破壊していくなかで、同じ色で光る物を見つけた。



 ん? 同じものが光ってるぞ。


 同じの二つで新しい物にできるのか?



 光っているのは同じ雑草であった。


 同じ色で光っている二つを両手で触れる。



>右手:雑草(廃品) 左手:雑草(廃品)


>素材合成可能品がセットされました。


>この二つを素材合成しますか?


 神の声に促されるまま了承をする。



―――――――――――

 再生スキル

  LV:5

  経験値:1/36

  対象物:☆荒縄(分解品)


 >荒縄(普通):94%

 >荒縄(中品質):74%

 >荒縄(高品質):54%

 >荒縄(最高品質):24%

 >荒縄(伝説品質):14%

―――――――――――


 発動した再生スキルから荒縄を選び、普通品質で再構成をしていく。


>荒縄(普通品質)に再構成に成功しました。


>レシピが解放されました。


>雑草×雑草=荒縄


>荒縄(普通品質)


 資産価値:二ガルド



 再生を終え手の中に荒縄ができ上っていた。



 回復薬と同じで、合成することによって縄づくりの手順を飛ばして物が作り出せるのか。


 これを破壊すると、荒縄になるのかな?



「エルサさん、これって破壊できます?」


「やってみるね」



 エルサさんの手が触れた荒縄は、破壊スキルが発動し、淡い光に包まれたかと思うと、近くにあった木と同じ光で輝いていた。



「新しい合成ができそう」



 同じ光を宿した品物を両手に持つ。


>右手:荒縄(廃品) 左手:木材(廃品)


>素材合成可能品がセットされました。


>この二つを素材合成しますか?


 了承し、再生スキルを発動させる。


>レシピが複数あるので選択してください。


 ん? 複数レシピがある?


―――――――――――

 再生スキル

  LV:5

  経験値:2/36

  対象物:☆木の弓(分解品)


 >木の弓(普通):94%

 >木の弓(中品質):74%

 >木の弓(高品質):54%

 >木の弓(最高品質):24%

 >木の弓(伝説品質):14%

―――――――――――


―――――――――――

 再生スキル

  LV:5

  経験値:2/36

  対象物:☆棍棒(分解品)


 >棍棒(普通):94%

 >棍棒(中品質):74%

 >棍棒(高品質):54%

 >棍棒(最高品質):24%

 >棍棒(伝説品質):14%

―――――――――――



 選択肢が二つ提示された。


 これは、木製の弓と棍棒のどちらかを選ぶってことか。。



 エルサさんが使う弓はもうあるので、剣が通じない相手用に棍棒を選んでいた。



>棍棒(普通品質)の再構成に成功しました。


>レシピが解放されました。


>木材×荒縄=棍棒


>棍棒(普通品質)


 攻撃力:+5


 特殊効果:物質系ダメージ+2


 資産価値:一〇〇ガルド



「簡単に棍棒もできちゃうのね。合成ってすごい。これも他の物と合成できるかな?」



 できあがった棍棒を手にしたエルサさんが、また同じように棍棒を破壊していた。



 ゴブリンの骨と反応してるな。



 反応した二つの素材を手にする。



>右手:ゴブリンの骨(廃品) 左手:棍棒(廃品)


>素材合成可能品がセットされました。


>この二つを素材合成しますか?


 了承し、再生スキルを発動させる。


―――――――――――

 再生スキル

  LV:5

  経験値:3/36

  対象物:☆小鬼骨の棍棒(分解品)


 >小鬼骨の棍棒(普通):94%

 >小鬼骨の棍棒(中品質):74%

 >小鬼骨の棍棒(高品質):54%

 >小鬼骨の棍棒(最高品質):24%

 >小鬼骨の棍棒(伝説品質):14%

―――――――――――


 普通品質で再構成を選択する。



>小鬼骨の棍棒(普通品質)の再構成に成功しました。


>レシピが解放されました。


>ゴブリンの骨×棍棒=小鬼骨の棍棒


>小鬼骨の棍棒(普通品質)


 攻撃力:+8


 特殊効果:物質系ダメージ+2


 資産価値:五〇〇ガルド



 再生を終えて現れた棍棒には、尖ったゴブリンの骨が棘のようにいくつも突き出していた。

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