第十一話 魔結晶の使い道
スキルが成長することを確認した僕たちは、それからドンドンとゴブリンの落とした装備を再生させていた。
再構成の成功数が三〇を超えたことで、再生スキルのLVは3にまで上昇し、また成功率が1%増えていた
「ふぅ、これで武器は最後だね」
「巨大こん棒が一本、鉄の剣が一五本、鉄の大刀が三本、鉄の槍が五本、鉄の短剣が九本、鉄の弓が一本。これが拾った武器の全部の内訳になってるわ」
「ざっと計算して一〇万ガルドくらいの価値になるかな」
「一〇万ガルド……」
積み上がった武器に視線を送るエルサさんだったが、その顔色は優れないままだった。
たぶん、額が全然足らないんだろうな……。
伝説級の剣の金額くらいは作らないとダメか。
他に換金できそうなのは、素材と魔結晶だけど……。
素材も魔結晶もゴブリンのは、ほとんど値段が付かないだろうし。
特にクズの魔結晶は、ほとんど価値がないんだよな。
一角に集められた二八個のクズ魔結晶に視線を向けていると、その一つをエルサさんが手袋を付けた手に取った。
「これって破壊してみていい?」
「魔結晶をですか? 冒険者ギルドが貨幣と交換してくれますが。けど、ゴブリンのはほとんど値段の付かないクズ魔結晶なので試してみてもいいと思います」
クズ魔結晶なんて一個数ガルドだしね。
エルサさんの破壊の力が、魔結晶にも適用されるのか判明する方が気になる。
「じゃあ、一個やってみるね」
エルサさんが素手で魔結晶に触れ、魔結晶が破壊されると、周囲に爆発的な光が溢れた。
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>魔結晶の破壊を検知しました。
>【再生】スキルの経験値にしますか?
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ん? 経験値にしますかだって?
魔結晶って再生スキルの経験値になるの? まぁ、やってみればいいか。
どうせ、ゴブリンから得たクズ魔結晶だし。
視界の端に表示された文字に首を傾げながらも、了承を意識した。
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>魔結晶((超極小)を経験値化します。
>経験値1ポイント取得します。
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了承すると、エルサさんによって破壊され、魔結晶が放っていた光が、僕の身体に取り込まれた。
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>経験値:4/24→5/24
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光を取り込み終えると、経験値の数字が増えた。
「エルサさんが魔結晶を破壊すると、再生スキルを成長させるための経験値になるみたいです!!」
「そ、そうなの!? あ、じゃあ魔物をいっぱい倒せば、ロルフ君のスキルもいっぱい成長するのかしら?」
「た、多分そうなるかと」
「魔物退治でも成長するスキルか……ますます、ロルフ君の再生スキルは、すごいスキルだと思わない?」
「え、ええ。自分でもビックリするくらい、すごいスキルだと思ってますよ」
エルサさんのおかげで、また一つ再生スキルの持つ能力の一端が解明された。
「じゃ、じゃあ、残りの二六個も破壊するね。お金にならないならロルフ君のスキルの成長に使った方が絶対いいものね」
「小さい魔結晶はお金にならないし、確実に経験値になるみたいだから、そうしましょう!」
「任せて、すぐに破壊するから」
エルサさんが、残りのクズ魔結晶をドンドンと破壊していく。
魔結晶から発生した光が、次々に僕の身体に取り込まれていった。
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>【再生】スキルがLVアップしました。
>LV3→4
>解放:☆の成功率1%上昇
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スキルステータス
パッシブスキル:☆成功率上昇3%上昇
アクティブスキル:なし
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破壊した魔結晶からの経験値で、再生スキルがさらに成長していた。
成長したスキルの表示を眺めていると、いつの間にエルサさんが目の前にいた。
「ロルフ君、ちょっと思いついたことがあるんだけど、やってみていい?」
「思いついたことですか? 別に問題はないと思うんで色々と試してみましょう!」
「ちょっと、刺激が強いかもしれないけど実験だから、変な人だって思わないでね」
「え? あっ、はい」
返事を返すと、エルサさんが自分の着ていたボロボロの衣服を脱ぎ、裸になっていた。
「ちょ!? エルサさん!?」
「こうすれば、みすぼらしいあたしの服も、再生スキルで新品にできるかなって思って。ほら、破壊したよ」
エルサさんは恥ずかしそうに胸もとを手で隠しているものの、視線のやり場に困る。
な、なるべく見ないでおかないと。
あんまりジロジロと見たら、嫌われちゃうだろうし。
エルサさんの裸体を直視しないよう、明後日の方向に視線を向けていた。
「そ、そうですね。綺麗に再生してみましょう」
淡い光をまとった衣服に手を触れ、再生スキルを発動させる。
――――――――――
再生スキル
LV:4
経験値:7/30
対象物:☆布の服(分解品)
>布の服(普通):93%
>布の服(中品質):73%
>布の服高品質):53%
>布の服(最高品質):23%
>布の服(伝説品質):13%
―――――――――――
普通品質での再構成を選ぶ。
>布の服(普通品質)の再構成に成功しました。
>布の服(普通品質)
防御力:+5
資産価値:三〇〇ガルド
「やっぱり衣服も新品になった。これで、あたしがロルフ君の隣にいても、恥ずかしい思いをさせないですむ」
再生スキルで新しくなった衣服を渡そうとした際、エルサさんの裸体が視界に飛び込んできていた。
「あ、あの! エルサさん! 見えてますから! は、早く着てください!」
「ご、ごめん! すぐに着るわ」
慌てて僕は後ろに振り返り、彼女が衣服を着る音だけが辺りに聞こえていた。
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