連続性失恋症候群
宮野涼
連続性失恋症候群
―青春とは失恋の連続だ。
これは俺の持論である。
もちろん、一過性の恋愛感情を抱く者、成人してからも恋愛関係を築き続けている者、様々な人間が存在する。
だから、これは……あくまで俺に関する持論だ。
季節は春、満開の桜が新入生を歓迎し、暖かな陽射しが教室に差し込んでいる。
教室の大半の人間は外の風景を眺めて休み時間を過ごしているが…俺はというと、
それもそのはず、容姿端麗で文武両道に秀でる彼女にこの俺が惹かれないわけがないのだ。
ちなみにこの俺、
「ねぇ紗季…西城に見られてるよ…」
「うわほんとだ…気持ちわるっ…」
こうして、俺は人生で17度目の失恋をしたのだった。
季節は春、満開の桜が…と、月日はまだ二日しかたっておらず、今年から大学受験生になった俺は、失恋した心の傷も癒えぬまま、進学調査書を書き進めていた。
そして、最近気づいたことなんだが…俺は惚れやすい体質らしい。いや、これは体質といっていいのだろうか?
仮にだが、落とした消しゴムを取ってくれた人が黒髪ロングの美人さんだったら…俺はその子の虜になってしまうだろう。いや、美人でなくても虜になってしまうかもしれない。
それほど、俺という生き物は単純なのだ。だから今まで17回も恋をしてきた。
幼稚園で2回、小学校で4回、中学校で4回、高校で6回…いや、昨日で7回になるか。
これは予想だが、多分一週間もしないうちに俺は新しい恋をするだろう。
だが、惚れやすいからといって傷が簡単に癒えるわけではないわけで……
「ねぇ聞いてる?」
「…え?」
「私、同じ図書委員会になった
「あ、あぁ、よろしく…」
随分と元気な子だな…さすがに惚れやすい俺でもこの子はタイプじゃな…
「えへへ、私の苗字と君の下の名前…同じだね!」
俺は今日、人生で18度目の恋をした。
連続性失恋症候群 宮野涼 @ryo2838
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます