三日目 彼女という存在 前編
俺はいつも起きている時間に目を覚ました。体感では二時間くらいしか寝ていないように感じ、体には倦怠感が残っている。俺は朝の支度をしてリビングへと向かった。リビングではもうすでにごはんができており、
片付けも終わり、俺と
「
「はいはい。特大のが出るから先に行っててことでしょ。それなら、ちゃんとトイレ喚起してから学校行ってよね」
「オブラートに包んだ意味ないだろ。ちゃんとするから行ってらっしゃい」
「全然オブラートじゃないし。 うん、行ってくるね」
憂鬱だ。
学校へ行くのがこんなにも憂鬱だとは今まで思ったことはなかった。学校の授業が嫌なものばかりで、憂鬱になったことはあった。しかし、これとは別の憂鬱だ。
俺はしばらく考え込んであることを決めて学校へと向かった。
そして、
嫌われよう。
俺は学校へ着き、自分の席に着いた。
「ねえ、昨日のことどういうことかな? ずっとメッセージ送ってたよね? 電話も出ないし」
「・・・」
「まだ、こっちは納得してないんですけど」
俺は無言を貫いた。チャイムがすぐになったこともあり、
朝のHRはいつものように進み、終わったらすぐに
「ねえ、なんか言ってよ。別れるなら別れるでどうしてなのかわからないし。理由を教えてもらえないと私は納得できないよ」
「ごめん、先生に呼ばれてるから」
俺は先生から呼び出されていたわけでもなく、席を立ち教室を出た。
ごめん、
最近なんかりょうちゃんの様子がおかしい。最近というより昨日からかな、、 昨日は、顔色が悪かったけど。なんかそれだけじゃないような感じがした。なんだろう。何かを押し殺してそれを表面に出さないようにしてる。そんな感じがした。りょうちゃんのことだから私や
けど、それでも、別れるということにどうつながっているのか納得できない。私のことを嫌いになったわけではないと思う。ただ、何か隠さなきゃいけないこととつながりがあるのか、それが別れることとどう関係しているのか、私にはさっぱりだった。
俺は職員室に行くわけでもなく、ただ誰もいないところで無言のまま一限までの時間を過ごした。
俺は一限の化学が始まりそうになり、チャイムギリギリに科学教室へと向かった。
「気を付け。礼」
「「お願いします」」
「着席」
俺は教室に入って、日直の号令に従って挨拶をした。
「なぁ、お前、
「ああ、別に、、少しけんかしたくらいかな」
「お前と陽菜が喧嘩ね~。前もなかったわけではないけど、珍しいな」
「まあなんだろうな。 そんな心配すんなよ」
「わかったけど、早く仲直りしろよな。 しかし、理由は何なんだよ。喧嘩するってなったらよっぽどな理由なんだろ?」
「・・・」
俺は何か適当に嘘をついて誤魔化そうとした。けど、言葉が喉の奥につまり出てこなかった。
「・・・ まあ、いいや。早く仲直りしろよな」
「ああ」
俺は何も返せなかったことに悔しさを覚えその後の授業を聞いた。
二限、三限、四限は特に何もなく過ごした。
「それで、あいつがさ・・・」
俺は
「ねえ」
「今日学校終わったら私の家に来ること。わかった?」
「ついにお呼び出しかw お前ほんとに仲直りしろよな」
「ほっとけ」
家 か。
俺は悩んだ。行こうか行かないか。行かなければ嫌われる。嫌われるというのは俺が覚悟覚悟したことだった。だから嫌われることなのでそれはそれでいいと思った。
けど、それは...
俺は昼休みの間悩み続けた。そして昼休みが終わり、五限目が始まろうとしていた。五限は体育ということもあり、女子は更衣室に向かい、男子は教室に残り着替え始めた。そして、着替え終わった人から体育館へと向かっていった。俺も着替え終わり
俺は少し気分が悪かった。悩んでいたからだろうか。体が重く感じた。
なので、俺は体育館に行った後、一通りのストレッチをして、体育の先生に「貧血だったので今日は、体育は休みます。あと、今も少し気分がすぐれないので保健室に行ってきます」と伝え体育館を出て行った。
俺は保健室へ向かわず、職員室に向かった。
確かこの時間、先生は授業なかったはず。
俺は職員室の入り口の教科担当者表を見ながら先生がこの時間授業がないことを確認し、
「失礼します。三年五組、
俺はいつもの決まり文句を言い、職員室へと入った。授業や出張に行っているのか、教室には斎藤先生しかいなかった。俺は先生の方へ向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「
とある病院の病室にベットに横たわる少女とその隣の椅子に座っている少年とベッドの後ろで部屋の隅に二人の夫婦らしき人がいた。
「無理だよ。笑顔を作ろうと思っても、涙が止まらないよ。なんでこんな… なんで
「前から決まってたことだよ。それにこの一週間ずっと
「それでも、それでも。俺はお前と離れたくない」
「もぅ… わがままだなぁ」
「わかってる、わかってるけど」
俺は悲しかった。
「ねえ、最後に手 つないでくれる?」
俺は
「最後だなんて言うなよ。ずっとずっとこれからもお前の手を握り続ける。だから、だから、、生きてくれ。生きてこれからも俺の隣にいてほしい。俺はお前がいなかったら何もできないダメな人間だから」
「ありがと。でもね、そのお願いは聞いてあげれないなぁ。もうね、手 自分で動かせないんだ。感覚はあるんだけど動かせない。ほかの部分も動かそうと思ってるんだけど、どこも動かないよ。 もう死ぬのかな」
香織の両親はずっと泣いていて、お義母さんは顔をハンカチで押さえながら、お義父さんはお義母さんを抱きしめながら泣いていた。俺は
「わたし、死にたくない。ずっと、ずっと生きていたい。そして一(はじめ)くんといろんなことしたい。これからもずっと」
「うん、ああ俺もだ。俺もお前と生きていたい」
俺は悲観した。どうすることもできない自分を、ただただ悔しく思った。
「お父さん、お母さん。私ね、二人にたくさん迷惑かけたと思う。私、やんちゃばかりしたから大変だったでしょ。けど、それでも、それでも優しく接してくれた二人が私はとても大好きだよ。ありがとうね。
香織は静かに目を閉じた。
「うわああああああ、俺も、俺も
俺は冷たくなり始めた
泣き続けた。
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