通り抜ける視線

通り抜ける視線

同じ美術部の君は、人物を描くことが好きらしい。

よく友達や家族の絵を描いている。

いつもは自慢げに見せてくれるのに、今回の絵はなかなか見せてくれない。

「これを渡して告白するんだ」

そんなこと言われたら緊張するでしょ。

いつも私の方をちらちら見て描いているのだから。

告白のようなセリフに意識し始め、少しでもかわいくなろうと努力した。

あれから半月経ちようやく完成したらしい。

絵のモデルは私の後ろの席の子だった。