第4話 martini
ななは、微笑んだまま
「はい。あの人は
男の人、って言う感じがしなくて。
神父さんみたいに、みんなのしあわせを
考えている、そういう人。
あたしひとりの、恋人にしたい、なんて
そういう気持ちを持ってはいけないのかしら、
そう感じたの。
でも、その人にもあたしは
しあわせになってほしくて。
」
なにか、してあげたい。
そういうふうに、ななは思ったと
神様に言った。
神様は、もちろん
天国に集まる人達の事を良く知っているから
その人は、自分のしあわせより
なな、や
みんなのしあわせを考えるような
天国に近いひと、だったのかもしれないと
神様は思った。
日本の神様かもしれないし、
仏様、だったのかもしれない。
なんといっても、日本は八百万の神様が
昔から仲良く暮らしている国なんだから。
そんな国は、他にない。
そう、神様は思う。
ななは、懺悔するみたいに
「でも、あたし。
そんな気持ちが自分のどこにあるのでしょう?って思うくらい
自分を見てほしいって気持ちになるんです。
それで。」ななは、神様には言えなかったけど
シャツのボタンをふたつ外して、その人の
そばに寄ったり。
ミニスカートで、立て膝ついたりして
悩殺しちゃおうとか、思ったり(笑)
ほんの、いたずら心だけど
ななの心は、精一杯の気持ちで
その人に見てほしい、そう思ったりしたのだろう。
「あたしって、罪深いんです」と、ななは
真面目な顔になって、それで、笑顔に戻った。
「ななちゃんは、罪深くなんかないんじゃな。ひとの愛は、そういうものじゃ。」
神様は、静かに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます