第95話 性職者


「マルクぅ……ボク、もう逃がさないよぉ……!」

「彼女は危険だ。私のところへ来たまえ。師匠として、少年の悦びを沢山その体に教え込んであげよう……☆」


 リタとルドガーは、いやらしく舌舐めずりをしながらマルクの側へにじり寄ってくる。


「もう……好きにしてください……」


 逃げ場を失い、諦めかけたその瞬間。


「お待ちなさいっ!」


 どこからともなく現れたクラリスが、二人の間に割り込んで言った。


「クラリスさん!」

「大丈夫ですかマルクさん?もう安心して良いですよ、ワタクシが来ましたからね!」


 マルクに微笑みかけながら頭を撫でるクラリス。


「立ってください。マルクさんのことはワタクシがお守りします!」


 クラリスはちゃんと服も着ているので、大丈夫そうだ。


「あ、ありがとうございます……っ!」


 マルクは、目を潤ませながら感謝の言葉を述べる。


「どいてよクラリス! ボクはマルクのことが欲しくて欲しくてたまらないんだ!」

「どうしても邪魔をすると言うのなら、まずは君から片付けないといけないね☆」


 クラリスは、立ち上がったマルクのことを自分の胸へ抱き寄せながら、狂気に陥った二人のことを交互に見据えた。


「よってたかってか弱いマルクさんのことを誑かして……恥ずかしくないんですかッ! その行い、悔い改めなさいッ!」

「だってこれは愛だもん! ボク、恥ずかしくなんかないよ!」

「服を着ていないくらいなんだって言うんだ。よく考えてみたら、バニーガールの格好をさせられるよりはマシさ☆」


 しかし二人とも、クラリスの言葉にまるで耳を貸さない。


「よーく分かりました。……あなた方には悪魔が憑いています。ワタクシが払って差し上げましょう!」


 クラリスはそう言うと、一切の躊躇もなく巨大なメイスを召喚し、手に持って構えた。


「おいおい……嘘だろう☆」

「そ、それをボク達に使うつもりなの……?」


 本気で怒っているクラリスに恐怖し、後ずさるルドガーとリタ。


「そうですね。これ以上マルクさんに近づくつもりなら、これで潰します!」

「く、クラリスさん、流石にそれはやり過ぎなんじゃ……」

「そんなことはありません。さあ、今すぐここから立ち去りなさいっ!」


 クラリスは二人に向かって凄む。


「きゃいーんっ!」

「ここ私の部屋なんだけどもっ!」


 脅された二人は、その場から尻尾を巻いて逃げ出すのだった。


「ふぅ……た、助かりました。ありがとうございますクラリスさん」

「礼には及びませんよ。ワタクシは当然のことをしたまでです」

「でも、クラリスさんが来てくれなかったら、今頃僕は……」


 マルクは、二人の痴女にもみくちゃにされる様を想像して、身震いした。


「…………」

「く、クラリスさん?どうかしたんですか……?」


突然クラリスが何も言わなくなったので、マルクは恐る恐る問いかける。


「……いけません!マルクさんにも邪気が纏わり付いています!きっと、あの者達の邪な心がマルクさんを蝕んでいるのでしょう」

「ほ、本当ですか!?」

「ええ……ですが安心して下さい、ワタクシが邪気を吸い出して差し上げますので」

「わっ、分かりました……よろしくお願いします……」


 マルクは、そう言ってぺこりと頭を下げた、


「あの……ところで、邪気を払うって一体何をするんですか……?」

「……何って、当然マルクさんのおちんち●とおちくびを吸うんですよ? それで足りなければワタクシの●●●●性水を飲ませます」


 あっけらかんとして言うクラリス。


「あっ……あわあわわ……っ!」


 マルクの表情は一瞬にして恐怖に染まり、腰を抜かして尻餅をつく。


 マルクの純粋な心は、またしても裏切られたのだった。


「逃げないでください……すぐ、終わりますからね……っ! ぐへへへぇ……!」


 クラリスはそう言ってマルクの上にのしかかり、服のボタンを脱がせ始める。


 クラリスは自分が脱ぐのではなく、こちらを脱がせて来るタイプだったのだ。

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