読み切り置き場

らくしゅ

1・支払いは呪いの魔石で

激辛レトルトカレー2箱とカイエンペッパー大ボトル5本の予約よろしくと代金代りに湯屋のフロア・テーブルにコッツと置かれた宝石。


女性の握り拳大のそれは、血の色の中に黒い筋が、禍々しく渦巻き一目でヤバい品と判るものだった。


胸元から興味津々に頭を出す蛍に花桜は、注意する。


「蛍〜ばっちいから触っちゃだめ」

ばっちいと言われた宝石は、まるで意志が、有るかのようにゆらりと光を強めた。


「闇〜これは、持って帰ってカレーなら銀貨で、買えるから」


ふたりの間にある宝石は、無視するなと言わんばかりに更に揺らめき輝きを増した。


昼寝を終えた茜が、フロアに降りてきて水を飲む。テーブルに置いた宝石を見た瞬間目をぎらつかせ飛び付き宝石を奪い取る茜。宝石を握り締め座り込む茜は、何やらブツブツ宝石に語り掛け笑っている。


「ちょっと〜ここでそんなモノ出さないで茜も帰っておいでぇ〜」

「残念面白かったのに」


闇は茜の額に爪を差し込みぐっと力を入れる。床に崩れ落ちた茜の手からコロリと滑り落ちた宝石を拾い花桜に見せる。


「そうこれは、持ち主に取り憑き・支配する。魔石」ごめんねぇと宝石を呑み込む闇。


闇の肩から黒い小猫が、現れ床に気絶している茜の顔にのっしりと覆い被さる。小猫が、魔石の呪いを吸収し少し大きくなる。猫に覆い被され呼吸が、出来ない茜が、意志を取り戻し。


「ぶぁ〜死ぬぅ…さ酸素ぉ〜ひっひっふぅ」良かったねとスリスリした黒猫は、ジャーキーの缶を転がしおねだりをする。茜からジャーキーを貰いアグアグ食べる猫。


「茜ちゃん大丈夫?」

茜は花桜を見て首を傾げる。

「いま宝石に取り憑かれてた」


ピンポーン来店の音が、鳴りなゆが、現れコンピューターを操作・フロアの防犯カメラの画像再生と宝石の情報が、流れる。超ヤバいもんでした。


なゆからコンビニの会員登録抹消と言われた闇は、焦りペコペコと謝罪をし

ふたりに別の宝石をくれた。


花桜には、淡いピンクの水晶のピアス。茜にはレッドオレンジの瑪瑙のピアスどちらも守りの魔法が、込められていると言う。


蛍が、飛び出て闇の額にとすっと止まる。爪で蛍をつまみ上げ花桜に手渡し頭を押さえる闇。


「はいはい判ったから頭に直接叫ばないで…これをジノにあげて」闇は手の平から長い鎖のネックレスを出しテーブルに置く。


ライトグリーンの中に煌めく光の粒が、蠢いている。それを見た蛍は、慌てて花桜の胸元に逃げ込む。

「ヤバくないこれも…ねぇ…もっと普通のにして」


注文が、多いとぶつくさ言いながらアクセサリーを五個出し並べていく。

蠢く光に逃げていた蛍が、胸元から現れ・ひとつの水晶の上で跳び跳ねる。


「あら蛍〜お目が高いこれは、防御の魔法が、込められていて障壁が、張れる品よ。しかも丈夫で長持ち」透明な水晶の中に紺色の花弁が、咲くネックレスが、ジノの守りになった。


その後・茜恋さに取り憑きに来る血の色の魔石。朝起きると湯屋のフロアで不気味な笑い声を上げる茜が、度々見られた。


コンビニ会員抹消 & 蛍にコンビニの出入り禁止を告げられ闇は頑張った。


「安心して血の魔石は、ジノを狙って追い掛けていた。貴族に渡したからしばらく帰って来ないと思う…多分大丈夫…」カイエンペッパージュースを飲み笑う闇に皆が、苦しい嘘だと思った。


「最近〜練っとりした視線感じるんだけど気のせいかな」花桜は、多分気のせいでは、ないと呟く。瑪瑙のピアスが、オレンジ色から赤黒なって来ていた。まるで魔石の血の色のように。

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