逢魔が時
山咲銀次郎
第1話 古い井戸
これから話す話は、銀次郎が若い頃に体験した事実である。
少し長いので1と2に分けて話す。
今回は少しご注意がある。
怪談であるのだが、30年前にこの話をした直後、ちょっとした怪異に襲われたので、そういうことを気にするかたはここで読むのを止めて欲しい。
自分はそういう怪異には半ばああまたかという感じで慣れっこになったしまったのであまり気にはしないが、時に魑魅魍魎の類いに敏感な人がいる。
そういう方はここで読むのを止めて欲しい。
(偶然かどうか、これを書いている今、風も無いのに部屋が揺れた。TVをつけても、地震の報告は無い。)
ご注意を前置きした上で本編。
銀次郎がまだ20代で広島に住んでいたころ、銀次郎は取り立ての免許で誰彼無く友人を乗せてよくドライブに出かけた。
もう8万キロも走った中古の車ではあったが、自分の車が嬉しくて、山や海へと誰彼無く誘って出かけていた。
まだ若かった。
そんな折り、やめておけばいいのに、小学生の頃にTVでみた幽霊のでる山に行こうというという話を友人にした。
当時、自分より若い高校生の友人二人を車に乗せていた。
血気盛んな若者のあつまりである、即座に
「・・・いこう!」
という話になった。
雨の降る日だった。
その山にはキャンプ場があり、井戸がある、そこに若い女性の遺体が捨てられていたということで、それから幽霊がでるという話が地元で囁かれた。それをTVが報道したのだ。
たしかあれば当時の3時にあいましょうだったか、プラスアルファだったか記憶にないが、とにかくそういう午後の主婦向けの番組だった。
だがもうTV報道されて10年くらい経っていたので、それがどこの井戸なのか特定できなかった。
そのキャンプ場は自分が卒業した高校の近くにあった。
だから地元で古くから暮らす友人に電話をいれ詳しい場所を聞いた。
「・・おおー銀次郎か、どしたんや?」
その区域に暮らす○○は詳しい井戸の場所を聞くと
「・・・ああーそういえばそういう井戸はあったのう。それはな・・・○○国道をまっすぐいって・・あそこのたばこ屋を左にまがって・・」
そういう風に教えてくれた。
「・・ありがとう○○、実は今からドライブでその場所をたしかめようと思って。」
というとその友人は心配してこういった。
「あそこらへんは昼でも暗い陰気なとこじゃ。時々族の車がホテル代をケチってから行きよるが、あんますすめんがのう・・」
と言った。
今は反省しているが、当時の銀次郎はまだ若く好奇心のほうが勝っていた。
場所は夏には鮎が捕れるような川の近くのキャンプ場である。
夏には多くの釣り人が訪れる。
当時もう秋が深まり、特に雨もパラパラと降っていたので、誰もいないような場所であるが、その場所は山奥、時に車同士が離合できないようなクネクネ道の奥にあった。
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