第45話 閑話<黒い鳥>

 時期不明。

 植木代表宅に集まったスタッフみんなでひとつのテーブルを囲んで雑談をしいていた。 

 どういう話しの流れからか、鳥の話になった。皆の思う鳥を絵にしていく桐原さん。

 桐原さんは僕の1歳年上の女性で、絵がうまい。

 みんなが好き勝手にイメージした鳥を1枚の絵にまとめていく桐原さん。

 出来上がった鳥の絵はあまりにカラフルで現実にとても実在しそうにはない鳥にはなったものの、絵としては面白い仕上がりになった。

「そうだ、折角だから(高島)あゆみさんにファックしよう」

 桐原さんが唐突にそう言った。

 妙にテンションの上がっていた僕らは面白そうとそうすることにした。

 早速FAXを流した。流し終わるのを待って桐原さんがすぐに高島さんに電話をいれた。

「FAXみた?」

「うん、みたよ」

「綺麗な鳥でしょう?」

「カラスが?」

 笑いの渦に巻き込まれた。

 みんな白黒でしか流れないことを失念して、綺麗に彩られた鳥の絵がそのまま流れると勘違いしてしまっていたのだ。

 いい大人のしがない休日だった。 

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