第17話 高島さん激オコ①<2219.10.某日>
文化祭の準備と練習は、文化祭会場で行われていた。
僕はどちらかというとお酒に強い方で、酔いつぶれるとか、記憶がなくなるということはなく、人生で二日酔いになったこともほぼ無い。
ある日の取引先との飲み会で、その日はどうしてかかなり飲んだ…………翌朝起きたら二日酔いだった。
困った。
その日はその文化祭会場に行って、準備と練習をしなければならない日だった。無駄に真面目な僕は、二日酔いのまま、その日の午後会場に向かった。
会場に入っても二日酔いは如何ともしがたい状態で、練習どころではない。
練習会場はかなり広く、この会場をガラス越しに見ることのできる部屋があった。練習会場に入るわけにもいかず、やむを得ずその部屋に入って横になることにした。
どうにか少しでも練習に参加したい。高島さんと一緒に練習したい。
横になってしばらくしてから、少しはいい感じになってきたように思えたので、会場内をガラス越しに見てみよう少し体を起こしてみた。
(無理)
更に体を動かそうとすると、出てはいけないところから、その出てはいけない物が出てきそうになる。
(昨日いったいどれだけ飲んだのだろうか……困った……このままだと練習に参加できない……どうしようか……)
結局、練習の終了時刻まで体調は回復することはなかった。
施設は施錠されるため、まずは施設の外に出ないといけない。
結局この日は会場で寝ていただけだった。
(まずい……練習もせず二日酔いで寝たままとか……このまま高島さんと終了ミーティングで会うって……どうしよう。合わせる顔がない……きっと怒っているんだろうな……いったいなんで今日は来てしまったのだろうか。いっそ来なければよかった)
会場に来たときよりはだいぶよくはなってはいたものの、かろうじて歩ける程度。
終了ミーティングがはじまった。
案の定彼女は不機嫌そうな顔をしている。普通に考えて怒っている。いいように捉えても怒っている。目が合わない。
(だよな。そうだよな。そりゃそうなるよな)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この日の高島さんが怒ったように思えたのは、まだ高島さんのことがわかっていなかったからで実際にはそうでなかった。
僕の記憶にある限り高島さんが僕に対して怒ったことは無い。怒ったような振る舞いをすることは何度もあったけど、高島さんが僕に対してこのような態度を取るときは嬉しいときであって、怒っているわけでない。
自分で説明していてなんだけど、意味がわからない。どうしたらそうなるのか。
喜怒哀楽がそのまま態度に出ていたとしても女心は難しいと思うのだけど、嬉しいと怒るとか、もう絶望的なほど理解ができない。どうしたらそうなるのだろうか。
どちらにしても、この当時の僕はこうしたことを知らず、怒っているから怒ったように振る舞っていると思っていたので、これも高島さんと僕のすれ違いの一因になっている。
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