第18話 ツタの危機
「どうしよう」
俺、レオンは未だにダンジョンを彷徨っていた。
ヒカリ達も出口も全く見つからず、3匹の狼に今、目をつけられた。
足跡とは……おそらく一致していない。
それよりどう戦おうか。
「【プラント】!!」
◇◇
◇◇◇◇
「よし!魔力も体感完全回復!ヒカリ、いくぞー」
「おー!」
「足跡は後回しで先にレオンを探すぞ」
手書きで地図を作り、自分たちが通ってきた道を記しながらダンジョンの奥へと進んでいく。
数十分歩くと、少し大きめの空間に出る。
「広いなぁここ」
「デリス、あそこに木が生えてて3匹の狼が死んでるよ!」
「ここには進める道が12か所ある…あの木の場所から来たのか、木の場所に行ったのかわからない」
そうだ!もしかしたらイノーならレオンの匂いをかぎ分けることができるかもしれない。
「イノー、レオンの匂い分かる?」
イノーは少し地面に鼻をこすりつけた後、狼が3匹死んでいる道の真反対へ進み始めた。
「いいぞ!イノー、その調子だ!」
◇◇
◇◇◇◇
「ふぅ……」
狼3匹を倒し、疲れた身体を休ませるため、周囲を警戒しながら仮眠をとっていたら後ろから木をなぎ倒すような音が聞こえた。
「おいおい…あのツタか?まだ来てるのかよ」
急いでここから逃げなくちゃ。
とりあえず周囲を見ながら走ってヒカリたちを探さなくちゃ。
ん?なんだここ……。
◇◇
◇◇◇◇
イノーについていくこと数分、またも大きな空間に出た。
中央には液体があり、湯気が出ている。
温泉だろうか?
「って、温泉見てて気づかなかったけどあそこにいる人、レオンじゃない?」
温泉の奥、上裸の男が身体を拭いている。
さてはあいつ、温泉に入ってたな?
「おーい!!レオン!!」
ようやくこちらに気づいたのか、振り向いて驚いている。
「ヒカリ!デリス!」
私はレオンに駆け寄る。
レオンは会えてうれしいのか、手を大きく広げて、ハグをしようとしている。
私はそんなレオンの腹に渾身の拳を入れた。
「いっっっ!!!」
「なに温泉入ってるんだよ!」
私たちが探している間にまったりしやがって…。
「ごめんごめん、まぁ揃ってよかっ」
服を着終わってこちらへ向いたレオン。
直後、背後からまたツタがレオンに絡みつく。
「おいおいおいおいおい!!!またかよぉ!!」
「ヒカリ、追いかけよう!かなり奥の方まで来ているからここで逃すとレオンが死にかねない!」
「ボス!全力でツタを追って!!私も走っていく!」
ツタは右へ左へと複雑にダンジョンの奥へと逃げていく。
レオンが必死にプランテーションで抵抗しているが、それも軽々と避けている。
次第に体力もなくなり、私たちはツタが追いつけなくなっていく。
レオンの姿も見えなくなっていく…。
後ろからズシンズシンと走る音……誰だろうか。
ふと、足音が止まったかと思うと次の瞬間、自身の右後方から黒色の塊がツタに向かって一直線。
目を凝らしてみると、人だ。小太りで髭を蓄えた貫禄のあるおじさんだ。
レオンに追いついたかと思うと背中の革袋から大ぶりの斧を取り出し、瞬く間にツタを真っ二つに斬った。
「わけぇのが何しとる。ここは上級ダンジョンと化した……無駄に動いとると死ぬぞ」
なんだあの渋おじ。かっこよすぎかよ……じゃなくて、なんかあの人見たことあるな。
「私たち泥棒探しに来てて、依頼達成のためにいるんです」
おじさんは髭に手を当て、軽くこすりながら恐らく思案している。
なんであんな一挙一動渋くてかっこいいんだよ。
「んならしゃあねぇ。ただ死なれるとこっちとしても迷惑だ。離れんようについてこい。先にツタの脅威をつぶすぞ」
「助かった!ありがとうおっさん。俺はレオンだ」
さっきまでツタに絡まって絶体絶命だったのに……元気だな。
「おれはミマリだ。呼び方は何でもいい」
そう言うとダンジョンの奥へと歩みを進めていった。
私たちも後を追おう。
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