冬の幻想

第1話

「先生、お腹痛いので保健室行きます」

私は授業の合間の10分休憩にそう告げ、堂々と教室を出ていった。もちろんお腹も痛くないし保健室なんて行かない。私は普段真面目だから、こんなことを言っても仮病を怪しまれないのが嬉しい。基本的に真面目だと、こういう利点がある。

3時間目の英語のこの時間、私は授業をサボって学校を出た。

校門の重い扉をガラガラと引き、出てからまたガラガラと閉める。別に理由なんて特にない。所謂魔が差した、というやつだ。2時間目の国語を受けている途中になんだか授業を受けるのがバカバカしくなってしまった。こんな事初めてだ。

今日の空は汚かった。

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