番外編 アリスとミーヤとリュウの日常
第一話 転生者とショタコン
目を覚ます。
目を開けると、そこは家の天井じゃなかった。否、ここは実家でもなく、いわくつきアパートでもなく、廃ビルでもない。
いつも通り、またさらわれたか、もしくは人質かな。
出るのは不安ではなく、ため息だった。
***
「今日は町に行こうと思います」
アリスさんが用意してくれた食事をとっていると、今日の予定を決定された。
紙に。
まさしく置手紙のように。
「ここは異世界。剣と魔法で満ち溢れた世界に、俺こと汐川流星は転生するのだった―――」
「さっさと食べろ」
軽く、ではなく殴られる。
か、陥没した?
「もうちょっと優しくしてくれません?」
「んじゃ殴っていいのか」
「ダメですけど…」
ミーヤとは話が合わない。なんというのか、ずれている気がする。
まあ異世界だからしょうがないけど。
「アリス様は今仕度中だ。ま、言い換えればお前を避けてるんだろうな」
「言い換えるの意味知ってます?・・・あ、あと」
「なんだよ」
言ってもいいだろうか。言った瞬間粉砕されないだろうか。
ドキドキ。悪い意味で
「そ、その、猫耳、撫でていいですか?」
「死ね」
やっぱ無理だった。
***
朝食を終え(いつもより疲れた)自室で服を着る。
5歳児の服を。
「はあ」
何の変哲もない。薄っぺらい胸板。
前世であった傷跡も、当然存在してなかった。
「せっかく鍛えたというのに・・・」
落ち込みながら、自分の体を眺めていた。
町じゃショタコンからのターゲットじゃないか。
嬉しいような、悲しいような。微妙な気分だ。
「着るか」
諦めて、青色のいかにもな服を、俺は着るのだった。
***
「あはははは。。ひゃ、ひゃはははっ」
外にはミーヤが先についていた。
そして今、ミーヤの顔には笑顔が浮かんでいる。
邪悪な笑顔が。
「うけるっ。お前どんだけに合ってないんだよ。あっあれか?道化師の見習いかなんかか?いやもう一人前だな。おめでとう」
カチン。うざい。こいつうざすぎる。
いや、抑えるんだ俺。きれたらこいつの思うつぼだ。
俺は仙人。
何事にも落ち着いて、、、
「はー超うけた。んじゃアリス様待ってるしさっさ行くぞ」
「お前のせいでこうなったんだろうが...(ボソ)」
「あん?」
町までの歩きの移動中、言い合う男女が目撃されたという。
***
「おっ。やっときたn・・・っぷ」
「ミーヤ、リュウ君。仲良くなった?」
「いえ。なんか溝ができました」
「よくなる仲なんてねえぞ」
困惑するアリスさん。申し訳ない。
それより、俺を見て噴き出した彼女はいったい誰だろうか。
見た目的には人間っぽいが。
「あー。ごめんね?あんまりにも・・・その。似合ってたもんだから」
「嘘つかなくていいです。逆にきついんで」
「そうね。でも、結構似合ってるよ。面白いだけでさ」
「似合ってると面白いんです?」
意味が合ってないと思うぞ。
てかもう帰りたい。心折れました。
「あの。アリスさん」
背が小さいので、しょうがなく服の裾を引っ張る。
でないと気付かれない気がする。
「僕、もう帰っても」
「っは。いや・・・駄目だよ。まだ街をアテネさんと回ってないし・・・」
なんか恥ずかしそう。これもこれで新鮮だな。
案外これもいいのかも知れない。
「その・・・ね。お姉さんと手をつないでいかないと迷子に―――」
「あ。やっぱいいです」
アリスさんとアテネさんから一番離れたところがベスト。
そう実感したのだった。
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