第十話 獣族の国の誕生

何をしようかとか、思ったことはない。


エリスと別れ、アテもなく彷徨う旅にするつもりだった。気の向くままに何処へでも行くような、そんな旅だ。

幸い、一人にはならなかった。ミーヤだ。最初の頃、予想通り中は険悪だった。俺はミーヤのことを嫌いではなかったが、ミーヤが俺のことを嫌っていたので、自然と態度も喧嘩腰になっていたのだ。

でも、それでも、心のうちではお互いを認めあっていたと思う。良き友として、良き仲間として、大切に。

なのに。


「なんで・・・なんでこうなったんだろう」


俺のつぶやきは、深々と降る雪の中に溶けていくだけだだった。


*獣族の国*

この世界は、約4つの部族に分かれている。


人族。この世界で最も繁栄している。

魔族。人を殺すことを目的とした、殺人集団。

獣族。主に獣が進化した部族。見た目は人となんらかわりはない。

神族。神の末裔とされている部族。


それぞれがそれぞれの習慣や、縄張り、文化を持っている。獣族は、奴隷などの階級に位置しやすい。

なぜなら、弱いからだ。

防具もマチマチだし、何より獣族には穏便派が多い。戦いを好まないので、戦争を仕掛けると大半は敗北している。


その中でもこの獣族の国は特殊だった。


もちろん、国民はすべて獣族、国の外壁には頑丈でかつ、魔法防御の結界が張ってある。

なぜ、魔法の素質もなく、文化レベルが低かった者たちが、こんなに賢いことをしでかしたのか。

周辺国家(主に獣族を奴隷にしているもの)は驚愕し、すぐさま原因を調べた。


結果はどの国でも同じだった。英雄が現れた、と。


ーーー引用:『世界を知る〜獣族編〜』


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